今回は、EXCEL(エクセル)の国際資格「Microsoft Office Specialist(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)」、通称「MOS」について紹介します。
業務効率化やキャリアアップを目指す方にとって、このMOS エクセル資格がどのようなものなのか、試験内容や難易度、取得するメリットなどを解説していきます。
MOS エクセル資格とは
MOS(Microsoft Office Specialist)は、Microsoft社が公式に認定する国際資格で、Word、Excel、PowerPoint、Access、Outlookなどのオフィスソフトの操作スキルを証明するものです。中でもExcelのMOS資格は、表計算やデータ分析のスキルを客観的に証明できる資格として人気があります。
2024年12月時点での累計受験者数は520万人を超えており、ビジネスパーソンのスキルアップの手段として広く認知されています。特に若い世代を中心に、就職活動や転職時のアピールポイントとして活用されています。
MOS エクセル資格のレベルと試験内容
MOS エクセル資格には、主に以下の2つのレベルがあります。
1. 一般レベル(アソシエイト/スペシャリスト)
Excelの基本的な操作スキルを証明するレベルです。一般レベルでは、以下のような内容が出題されます。
- ワークシートやブックの作成と管理
- セルやセル範囲のデータ管理
- テーブルとテーブルデータの作成
- 関数の使用(SUM、AVERAGE、COUNTなどの基本関数)
- グラフやオブジェクトの作成
- データの並べ替えやフィルタリング
初めてExcelの資格に挑戦する方や、基本的なスキルを証明したい方に適しています。なお、一般レベルのMOS 2016以前は「スペシャリスト」、MOS 2019およびMOS 365は「アソシエイト」と呼ばれています。
2. 上級レベル(エキスパート)
より高度なExcelのスキルを証明するレベルです。上級レベルでは、一般レベルの内容に加えて、以下のような内容が出題されます。
- 高度な関数の使用(VLOOKUP、IF関数、ネスト関数など)
- データ分析(ピボットテーブル、ピボットグラフの作成と管理)
- マクロやVBAの基礎知識
- 条件付き書式の高度な活用
- データの検証と保護
- 複雑なデータモデルの作成
一般レベルのスキルを持ち、さらに上を目指す方や、実務でより効率的にExcelを活用したい方に適しています。
MOS エクセル試験の形式と合格基準
MOS エクセル試験は、実際のExcelソフトウェアを使用した実技試験です。マークシート方式ではなく、実際にパソコンを操作して問題に回答します。試験形式の特徴は以下の通りです。
試験形式
- マルチプロジェクト形式:複数のプロジェクトがあり、それぞれにタスクが設定されています
- 各プロジェクトに4~7問程度のタスクがあり、指示に従って操作を行います
- 試験時間は50分程度(バージョンにより異なる場合があります)
- 合計1000点満点で採点されます
合格基準と合格率
MOSの合格基準点は公式には550点~850点の範囲とされており、試験問題の更新により変動します。一般的には1000点満点中700点以上が合格ラインとされています。MOS試験の合格率については公式データはありませんが、一般レベルでは約80%、上級レベル(エキスパート)では約60%程度と言われています。
上級レベルは一般レベルよりも難易度が高く、より高度な知識と操作スキルが求められるため、合格率も比較的低くなる傾向があります。
MOS エクセル資格を取得するメリット
MOS エクセル資格を取得することには、様々なメリットがあります。
1. スキルの客観的証明
「Excelが使えます」と言っても、どの程度のスキルがあるのか客観的に伝えるのは難しいものです。MOS資格を持っていれば、一定レベル以上のExcelスキルがあることを客観的に証明できます。これは就職・転職活動時に特に有効です。
2. 業務効率の向上
MOS資格の勉強を通じて、Excelの様々な機能や効率的な使い方を学ぶことができます。これにより、日常業務でのデータ処理や分析作業の効率が向上します。特に関数やピボットテーブルなどの機能をマスターすることで、手作業では時間がかかる作業を短時間で正確に行えるようになります。
3. キャリアアップ・転職に有利
MOS資格は国際的に認知された資格であり、多くの企業で評価されています。特に事務職や営業職、経理・財務部門など、Excelを頻繁に使用する職種への就職・転職時には大きなアピールポイントとなります。
4. 自信とモチベーションの向上
資格取得の過程で身につけた知識とスキルは、業務に対する自信につながります。また、目標を達成した達成感や充実感は、さらなるスキルアップへのモチベーションを高めてくれます。
MOS エクセル資格の勉強方法
MOS エクセル資格の取得を目指す方には、以下のような勉強方法があります。
1. 独学で勉強する
市販のMOS対策テキストや問題集を使って、独学で勉強することも可能です。公式サイトでも推奨教材が紹介されているので、それらを参考にするとよいでしょう。独学の場合は、計画的に学習を進めることが重要です。
また、Web上には練習問題やチュートリアルも多数公開されています。これらを活用して、実際の試験と同様の環境で操作の練習をすることが効果的です。
2. 通信講座を利用する
自分のペースで学びたい方は、通信講座も効果的な選択肢です。通信講座では、体系的なカリキュラムに沿って学習を進められるほか、分からないことを質問できるサポート体制がある場合もあります。動画レッスンや実践的な演習問題が用意されているケースが多く、より実践的なスキルを身につけられます。
3. パソコンスクールで学ぶ
直接指導を受けたい方には、パソコンスクールの講座がおすすめです。講師から直接指導を受けることで、より効率的に学習できます。また、試験対策に特化したカリキュラムや模擬試験なども提供されているため、短期間での合格を目指す方に適しています。
勉強のポイント
- 実際にExcelを操作しながら学ぶことが最も効果的です
- 試験範囲をしっかり把握し、出題されやすい機能を重点的に練習しましょう
- 模擬問題を繰り返し解くことで、操作の正確さとスピードを向上させましょう
- 出題形式に慣れるために、試験と同じ環境での練習が重要です
MOS エクセル資格のバージョンについて
MOS資格は、Officeのバージョンごとに試験が用意されています。2025年7月現在、対応しているバージョン(受験できるバージョン)はMOS 365(Microsoft 365対応)、MOS 2019(Office 2019対応)、MOS 2016(Office 2016対応)です。
どのバージョンを選ぶべきかについては、以下のポイントを考慮するとよいでしょう。
- 普段使用しているOfficeのバージョンと合わせると学習しやすい
- 最新バージョンの資格は、新しい機能にも対応しているため将来的に有利
- 職場で使用しているバージョンに合わせると、実務に直結するスキルを証明できる
なお、バージョンアップや更新制度はないため、新しいバージョンの資格を取得したい場合は、改めて受験する必要があります。
まとめ
MOS エクセル資格は、Excelの操作スキルを客観的に証明できる国際的な資格です。就職・転職活動でのアピールポイントになるだけでなく、業務効率の向上や自己成長にもつながります。
試験は実際のExcelを操作する形式で行われ、一般レベル(アソシエイト/スペシャリスト)と上級レベル(エキスパート)があります。自分のスキルレベルや目標に合わせて、適切なレベルとバージョンを選択しましょう。
勉強方法も独学から通信講座、パソコンスクールまで様々な選択肢があります。自分に合った方法で効率的に学習し、資格取得を目指しましょう。