今回は、EXCEL(エクセル)の最新版「Microsoft 365 Excel」(通称:Excel 365)の特徴と最新機能を紹介します。
サブスクリプション型で提供されるExcel 365は、買い切り型のOffice製品とは異なり、常に最新機能が追加されるという大きなメリットがあります。
業務効率化を支援するAI機能「Copilot」や、新たに追加された便利な関数など、Excel 365の魅力を解説します。
Microsoft 365 Excelとは何か
Microsoft 365 Excel(Excel 365)は、マイクロソフト社が提供するサブスクリプション型のExcelサービスです。従来の買い切り型のOffice製品(Excel 2021、Excel 2024など)とは異なり、月額または年額の利用料を支払うことで、常に最新バージョンのExcelを利用できます。
Excel 365はMicrosoft 365というサブスクリプションサービスの一部として提供されており、ExcelだけでなくWord、PowerPoint、Outlookなどの他のOfficeアプリケーションも含まれています。また、OneDriveの1TBストレージ容量も付属しており、クラウド上でのファイル保存や共有が簡単に行えます。
Excel 365と買い切り型Excelの違い
Excel 365と買い切り型のExcel(Excel 2021、Excel 2024など)には、いくつかの重要な違いがあります:
- 更新頻度:Excel 365は定期的に新機能が追加され、常に最新の状態が維持されます。一方、買い切り型は基本的に機能追加はなく、セキュリティアップデートのみ提供されます。
- 利用可能な機能:Excel 365はAI機能や最新の関数など、最新の機能がすべて利用可能です。買い切り型は発売時点の機能のみに限定されます。
- 料金体系:Excel 365はサブスクリプション型(月額または年額払い)、買い切り型は一度の購入で半永久的に使用可能です。
- インストール可能台数:Excel 365は複数のデバイスにインストール可能(同時使用は5台まで)、買い切り型は基本的に1台のみです。
Excel 365の主な特徴
1. 常に最新の機能が利用可能
Excel 365の最大の特徴は、常に最新の機能が利用できることです。マイクロソフト社は定期的に新機能をリリースしており、Excel 365ユーザーは追加費用なしで自動的にこれらの新機能を利用できます。一方、買い切り型のExcelは、新バージョンが発売されても新機能を利用するためには再度購入する必要があります。
2. クラウド連携と共同編集
Excel 365はMicrosoft 365の一部として、OneDriveやSharePointなどのクラウドサービスと緊密に連携しています。これにより、どこからでもファイルにアクセスでき、複数のユーザーが同時に同じファイルを編集する「共同編集」機能も利用可能です。チームでのコラボレーションが向上します。
3. 複数デバイスでの利用
Excel 365は、Windows PC、Mac、iPad、iPhoneなど複数のデバイスにインストールして利用できます。同一ユーザーであれば、制限なくインストール可能で、同時に5台まで利用できます。これにより、オフィスでのPC作業からモバイルでのデータ確認まで、シームレスな作業環境を実現できます。
4. AI機能「Copilot」の統合
2024年以降のExcel 365には、AI機能「Copilot」が統合されています。Copilotを活用することで、データ分析や複雑な関数の作成、グラフ作成などの作業を、自然言語での指示で実行できるようになりました。AI技術によって、Excelの使いこなしがより容易になっています。
Excel 365の最新機能
1. AI機能「Copilot」の活用法
Excel 365に搭載されたAI機能「Copilot」は、Excelの操作を簡単にします。Copilotでは以下のようなことが可能です:
- データ分析:「最も売上の高い商品を教えて」といった自然言語での質問に回答
- グラフ作成:「売上データを月別の棒グラフにして」といった指示でグラフを自動生成
- 条件付き書式:「上位10%の値を赤色で強調して」といった書式設定を自動適用
- ピボットテーブル:複雑なピボットテーブルを自然言語の指示で作成
- 数式の説明:複雑な数式の内容をわかりやすく説明
Copilotは2025年1月からMicrosoft 365のプランに応じて利用可能になりました。法人向けは「Copilot for Microsoft 365」として別途料金が必要ですが、個人向けの「Microsoft 365 Personal/Family」プランには標準で機能が含まれています。利用制限や詳細については、Microsoft公式サイトで最新情報を確認することをおすすめします。
2. 新しい関数の追加
Excel 365には、常に新しい関数が追加されています。最近追加された注目の関数には以下のようなものがあります:
- WRAPROWS/WRAPCOLS関数(EXCEL 365、EXCEL 2024で使用可能):一次元のデータを行または列に折り返して表示する関数。例えば、WRAPROWS関数は横一行のデータを指定した列数で折り返して表示し、WRAPCOLS関数は縦一列のデータを指定した行数で折り返して表示します。
- TEXTBEFORE/TEXTAFTER関数(EXCEL 365、EXCEL 2024で使用可能):特定の文字の前後のテキストを抽出する関数。例えば、メールアドレスから@の前のユーザー名や、@の後のドメイン部分だけを取り出すといった用途に便利です。
- IMAGE関数(EXCEL 365、EXCEL 2024で使用可能):セル内に直接画像を挿入できる関数。URLを指定するだけで画像を表示でき、画像サイズも調整可能です。
- Python in Excel:Excel内でPythonコードを実行し、データ処理が可能。2024年9月に正式リリースされた機能で、Pythonの強力なデータ分析ライブラリを活用できます。
3. 便利な機能強化
Excel 365では、ユーザビリティ向上のための機能強化も続けられています:
- ステータスバーの値をクリックでコピー:ステータスバーに表示される合計値などをクリックするだけでコピーできる機能
- 共同編集機能の強化:リアルタイムで複数人が同時に編集できる機能の改善
- データ型の拡張:株価や地理データなどの特殊なデータ型のサポート
- モバイル対応の強化:スマートフォンやタブレットでの操作性の向上
Excel 365の導入メリットと注意点
メリット
- 最新機能の利用:常に最新の機能やセキュリティアップデートが利用可能
- 複数デバイスでの利用:PC、スマホ、タブレットなど様々な端末で利用可能
- AI機能によるサポート:Copilotによる業務効率化
- クラウド連携:OneDriveとの連携でデータのバックアップや共有が簡単
- 共同編集:複数ユーザーによるリアルタイム編集が可能
注意点
- 継続的なコスト:サブスクリプション型のため継続的な支払いが必要
- インターネット接続の必要性:多くの機能がクラウド連携を前提としている
- Copilotの制限:法人向けは追加料金が必要
- バージョンの変更:自動アップデートにより操作画面が変わることがある
まとめ
Excel 365は、従来のExcelの機能に加えて、AI機能やクラウド連携、常に最新の機能が利用できるという大きなメリットがあります。
特にCopilotなどのAI機能を活用することで、複雑な作業も簡単に実行でき、業務効率の向上が期待できます。