今回は、EXCEL（エクセル）のクラウド版である「Excel Online（エクセルオンライン）」について紹介します。
Microsoftアカウントさえあれば無料で使えるExcel Onlineは、基本的な表計算機能を備えながらも、リアルタイム共同編集やクラウド保存など便利な特徴を持っています。
この記事では、Excel Onlineの基本的な使い方から、デスクトップ版との違い、活用するメリットまで解説します。
Excel Online（エクセルオンライン）とは
Excel Onlineは、Microsoft社が提供するクラウドベースの表計算ソフトウェアです。正式名称は「Excel for the web」とも呼ばれ、ブラウザから直接アクセスして利用することができます。デスクトップ版のExcelをインストールしなくても、Microsoftアカウントを持っていれば無料で利用できるのが特徴です。
Excel Onlineは、OneDriveやSharePointに保存されたファイルにアクセスし、Webブラウザ上で直接編集することができます。インターネット環境があれば、どのデバイスからでもアクセス可能なため、外出先やモバイル端末からも利用できる利便性を備えています。
Excel Onlineの基本的な使い方
アクセス方法と初期設定
Excel Onlineを利用するには、まずMicrosoftアカウントが必要です。アカウントを持っていない場合は、Microsoftの公式サイトから無料で作成できます。アカウントを用意したら、以下の手順でExcel Onlineにアクセスします。
- Microsoft 365の公式サイト（office.com）にアクセスする
- Microsoftアカウントでログインする
- 表示されるアプリ一覧から「Excel」を選択する
ログインすると、新しいブックを作成したり、OneDriveに保存されている既存のExcelファイルを開いたりすることができます。
基本操作とインターフェース
Excel Onlineのインターフェースは、デスクトップ版のExcelとよく似ています。上部にはリボンと呼ばれるメニューが表示され、「ホーム」「挿入」「ページレイアウト」「数式」などのタブが並んでいます。これらのタブを切り替えることで、様々な機能にアクセスできます。
基本的なデータ入力や編集操作は、デスクトップ版とほぼ同じ感覚で行うことができます。セルをクリックしてデータを入力したり、セルの範囲を選択してコピー＆ペーストしたりといった操作は直感的に行えます。
Excel Onlineのメリットと特徴
無料で利用できる
Excel Onlineの主なメリットは、無料で利用できる点です。デスクトップ版のExcelは、Microsoft 365の契約（サブスクリプション）や買い切り版の購入が必要ですが、Excel Onlineは無料で基本的な表計算機能を利用することができます。2025年現在、デスクトップ版のExcelを含むOfficeパッケージは以下のような価格設定となっています。
- Microsoft 365 Personal（サブスクリプション）：約1,800円/月（年間契約の場合約20,000円/年）
- Office Home & Business 2024（買い切り版）：約38,000円
そのため、基本的な表計算機能だけを使いたい場合や、頻繁にExcelを使用しない場合は、Excel Onlineを活用することでコスト削減につながります。
リアルタイム共同編集機能
Excel Onlineの特徴的な機能の一つが、リアルタイム共同編集機能です。複数のユーザーが同じExcelファイルを同時に開いて編集することができ、他のユーザーの変更も即時に反映されます。編集中のユーザーのカーソル位置も表示されるため、チーム作業やプロジェクト管理に便利です。
この機能を活用すれば、メールでExcelファイルをやり取りする必要がなくなり、常に最新の状態でデータを共有できます。会議中にリアルタイムでデータを更新したり、複数の部署が協力して資料を作成したりする際に効果を発揮します。
自動保存機能
Excel Onlineでは、編集内容が自動的に保存される「自動保存」機能が標準で有効になっています。これにより、作業中にブラウザが突然終了してしまっても、データが失われるリスクを抑えることができます。デスクトップ版のExcelでは手動で保存する習慣が必要ですが、Excel Onlineではその心配が不要です。
どこからでもアクセス可能
Excel Onlineは、インターネット環境とWebブラウザさえあれば、どのデバイスからでもアクセスできます。自宅のパソコン、会社のパソコン、外出先のタブレットやスマートフォンなど、場所や端末を選ばずに同じファイルにアクセスして編集することができます。
OneDriveと連携しているため、デバイス間でのファイル同期も自動的に行われます。例えば、会社のパソコンで作成したExcelファイルを、帰宅後に自宅のパソコンから続きを編集するといった使い方も可能です。
Excel OnlineとデスクトップExcelの違い
機能の制限
Excel Onlineは、デスクトップ版のExcelと比較すると、一部の機能が制限されています。主な制限事項には以下のようなものがあります。
- マクロ（VBA）機能は使用不可
- 高度なデータ分析ツールや一部の関数が使用できない
- 複雑なグラフや図形の作成に制限がある
- 印刷機能や印刷プレビューの設定が限定的
- 外部データの取り込みや接続機能が限られている
基本的な表計算機能、グラフ作成、シンプルな関数（SUM、AVERAGE、IF、VLOOKUPなど）は問題なく使用できますが、より高度な分析や複雑な機能が必要な場合は、デスクトップ版のExcelが適しています。
なお、近年のアップデートにより、Web版では「Officeスクリプト」という新しい自動化機能が導入されています。これはマクロ（VBA）の代替として、ブラウザ上で一連の操作を記録・実行できる機能です。複雑な処理には限界がありますが、基本的な自動化には対応しています。
ファイル形式と互換性
Excel Onlineでは、主に以下のファイル形式をサポートしています。
- Excel ブック (.xlsx) – 完全サポート
- Excel 97-2003 ブック (.xls) – 変換後に開く
- CSV ファイル (.csv) – 変換後に開く
- Excel マクロ有効ブック (.xlsm) – マクロは実行不可
古いバージョンのExcelファイル (.xls) やCSVファイルを開く場合、Excel Onlineは自動的に新しい .xlsx 形式に変換します。元のファイルは「以前のバージョン」から確認できます。
デスクトップ版とExcel Online間でファイルを共有する場合、基本的な互換性は保たれますが、Excel Onlineでサポートされていない機能を含むファイルを開くと、一部の機能が無効化されたり、表示が異なったりする場合があります。
オフライン対応
Excel Onlineは基本的にインターネット接続が必要なオンラインサービスです。そのため、インターネットに接続されていない環境では使用できません。一方、デスクトップ版のExcelはオフラインでも問題なく使用できます。
ただし、一部の機能については、ブラウザのキャッシュを利用してオフラインでも閲覧できる場合がありますが、編集機能は制限されます。長時間のオフライン作業が必要な場合は、デスクトップ版のExcelの利用を検討してください。
Excel Onlineの活用シーン
チーム作業や共同プロジェクト
Excel Onlineの最も効果的な活用シーンは、複数人でのチーム作業や共同プロジェクトです。リアルタイム共同編集機能を活用することで、メンバー全員が同じファイルに同時にアクセスして編集できます。例えば、以下のような場面で効果を発揮します。
- プロジェクトのスケジュール管理表の更新
- 部署間での予算表の共有と編集
- チームでのデータ収集と集計
- 会議中でのリアルタイムなデータ更新
従来のようにメールでExcelファイルをやり取りする必要がなくなり、常に最新のデータにアクセスできるため、作業効率が向上します。
モバイル環境での利用
Excel Onlineは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からもアクセスできます。外出先や移動中でも、簡単なデータ確認や編集が可能です。特に以下のような場面で役立ちます。
- 営業先での商談中にデータを確認・更新
- 出張中に急な資料修正が必要になった場合
- 会議間の移動中にデータをチェック
モバイルアプリ版も利用できますが、ブラウザ版であれば特別なアプリのインストールも不要で、どのデバイスからでも同じ操作感でアクセスできます。
初心者や一時的な利用
Excel Onlineは、Excelを初めて使う初心者や、一時的な利用にも適しています。使用頻度が少ない場合や、シンプルな表計算だけを行いたい場合は、デスクトップ版を購入する必要はありません。無料のExcel Onlineで十分な機能が提供されています。
学生や個人ユーザーなど、コスト面を重視する場合にも、Excel Onlineは適切な選択肢となります。
Excel Onlineの便利な機能と使いこなし術
ファイルの共有と権限設定
Excel Onlineでは、作成したファイルを簡単に他のユーザーと共有することができます。共有する際には、閲覧のみ許可するか、編集も許可するかなどの権限を細かく設定できます。
共有方法は、以下の手順で行います。
- ファイルを開いた状態で、画面右上の「共有」ボタンをクリック
- 「リンクをコピー」をクリックしてURLを取得、または直接メールアドレスを入力して招待
- 「編集可能」か「表示のみ」かを選択して権限を設定
共有されたユーザーは、Microsoftアカウントでログインするだけで、指定された権限でファイルにアクセスできます。
コメント機能の活用
Excel Onlineには、セルにコメントを追加する機能があります。これを活用することで、チーム内でのコミュニケーションが円滑になります。特に共同編集を行う際、データの意味や変更の理由などを記録しておくと便利です。
コメントを追加するには、セルを右クリックして「コメント」を選択するか、「校閲」タブから「新しいコメント」を選択します。コメントはスレッド形式で返信することもでき、ディスカッションを行うことも可能です。
テンプレートの活用
Excel Onlineには、様々なテンプレートが用意されています。予算表、スケジュール表、請求書など、用途に合わせたテンプレートを利用することで、ゼロから作成する手間を省くことができます。
新しいブックを作成する際に、「テンプレート」セクションから選択するだけで、プロフェッショナルなデザインのExcelシートを簡単に作成できます。
まとめ
Excel Onlineは、無料で利用できるクラウドベースの表計算ソフトとして、基本的な機能を十分に備えています。リアルタイム共同編集や自動保存機能、どこからでもアクセスできる利便性など、デスクトップ版にはない特徴もあり、適切な場面で活用することで業務効率の向上につながります。
一方で、マクロや高度な分析ツールなど、一部の機能が制限されているためめ、用途に応じてデスクトップ版とExcel Onlineを使い分けることが効果的な活用方法と言えるでしょう。