夫に伝わらない名もなき家事の疲労感を「見える化」したら夫婦の空気が変わった話

「ねえ、俺って結構家事やってる方だよね?」

夕食後、ソファでスマホをいじっていた夫が、ドヤ顔で聞いてきた。
その瞬間、私の頭の中で何かがブチッと音を立てて切れた。

私は、36歳の共働き主婦。
フルタイムで働きながら、6歳の息子と4歳の娘を育てている。

確かに夫は、休日に掃除機をかけたり、お風呂掃除をしてくれたりする。
でも、それはほんの「氷山の一角」でしかない。

「……あのさ、家事って掃除機とお風呂掃除だけじゃないんだけど」
「えっ?ゴミ出しもしてるじゃん」

悪気のないその言葉に、私の疲労感は怒りへと変わった。

見えない家事の山

夫が言う「ゴミ出し」とは、私が家中のゴミ箱からゴミを集めて、新しい袋をセットし、分別してまとめたゴミ袋を、ただ「集積所に持っていく」だけのことだ。

その前後にある作業の存在に、彼は全く気づいていない。

トイレットペーパーの芯を替える。
空になった麦茶のピッチャーを洗って、新しいお茶を作る。
シャンプーの詰め替えパックを切って、ボトルに入れる。
脱ぎっぱなしの靴下を洗濯カゴに入れる。

これらはすべて、名前のつかない「名もなき家事」だ。

一つ一つは数秒で終わる作業かもしれない。
でも、それが1日に何十回も重なると、確実に私の時間と体力を削っていく。

そして何より辛いのは、この「名もなき家事」をやっていることに、家族の誰も気づいていないことだった。

伝わらない疲労感

ある日、私は限界を感じて、夫に「名もなき家事リスト」を書いて見せることにした。

A4の紙に、朝起きてから寝るまでに私がやっている細々とした作業を書き出していく。

・炊飯器のパーツを分解して洗う
・保育園のプリントに目を通してサインする
・子供の爪を切る
・洗面所の水はねを拭く
・タオルの補充

リストはあっという間に紙の半分を埋め尽くした。
それを見た夫の反応は、予想外のものだった。

「……これ、そんなに大変?俺でもできそうだけど」

その言葉に、私は言葉を失った。

「できそう」じゃない。
私がやっているから、あなたがやらなくて済んでいるだけなのに。

「じゃあ、明日から一週間、このリストの半分をあなたがやってみてよ」

半ばヤケクソでそう言うと、夫は「いいよ」と軽く引き受けた。

夫の気付きと私の解放

翌日から、夫の「名もなき家事」体験が始まった。

最初の数日は、リストを見ながらなんとかこなしていたようだった。
でも、週末になる頃には、明らかに疲れた顔をするようになった。

「これ、毎日やってたの?」
「うん。それプラス、料理と洗濯と子供の世話ね」

夫は深くため息をつき、「ごめん、俺が甘かった」と頭を下げた。

実際に体験してみて、彼はようやく気づいたらしい。
「名もなき家事」の本当の辛さは、作業そのものの重労働さではなく、
「次から次へとタスクが発生して、頭の中が休まる暇がないこと」だということに。

「名もなき家事」に名前をつける

それ以来、夫の態度は少しずつ変わっていった。

トイレットペーパーの芯を替えたら、「ペーパー補充したよ」と一言報告してくるようになった。
最初は「それくらいで報告しないでよ」と思ったけれど、実はこれが良かった。

「名もなき家事」に、名前と声を与えること。
そうすることで、「私はこれをやりましたよ」というアピールになり、相手も「ありがとう」と言いやすくなる。

私も、今まで黙ってやっていたことを口に出すようにした。

「麦茶作っておいたよ」
「洗面所のタオル替えたよ」

すると夫は、「ありがとう、助かる」と返してくれるようになった。

「名もなき家事」は、完全にゼロにすることはできない。
でも、お互いにそれを認識し、感謝し合えるようになれば、その負担感は驚くほど軽くなる。

「ねえ、俺って結構家事やってる方だよね?」

もし夫がまたそう聞いてきたら、今度は笑ってこう答えるつもりだ。

「うん、麦茶も作ってくれるし、トイレットペーパーも替えてくれるしね。いつもありがとう」

見えない家事を「見える化」すること。
それが、共働き夫婦が笑顔で暮らすための、一番の家事コツなのかもしれない。

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