更年期のイライラで家族に当たり自己嫌悪に陥っていた私が救われた一言

「なんで何回言っても分からないの!!」

夕食の片付け中、麦茶をテーブルにこぼした10歳の息子に向かって、私はヒステリックに怒鳴っていた。
息子はビクッと肩をすくめ、目に涙を浮かべている。
その様子を見ていた夫が「そんなに怒らなくても、拭けばいいじゃん」と声をかけてきた。

その言葉が、私の心の中の導火線に火をつけた。

「拭けばいい!?じゃああなたが拭いてよ!私ばっかり毎日毎日片付けて、誰も手伝ってくれないじゃない!!」

手元の布巾をシンクに叩きつけ、私は寝室に駆け込んだ。
ドアをバタンと閉め、ベッドに倒れ込んだ瞬間、ドッと押し寄せてきたのは「自己嫌悪」だった。

「私、どうしちゃったんだろう……」

私は45歳。最近、自分でも感情のコントロールが効かなくなっているのを自覚していた。
息子が少しふざけただけで、夫が靴下を裏返しのまま洗濯カゴに入れただけで、些細なことで火山のように怒りが爆発してしまう。

そして怒鳴った後、必ずと言っていいほど激しく落ち込む。
「あんなに怒る必要なかったのに」「家族に当たって最低な母親だ」と、自分を責め続ける毎日だった。

「性格が悪くなった」という誤解

ある日、学生時代からの友人たちとランチをした時のこと。
近況報告の中で、私は最近の自分の「イライラ」についてこぼした。

「なんかさ、最近すぐ怒っちゃうんだよね。家族に当たってばっかりで、自分の性格が悪くなったみたいで嫌になる……」

すると、向かいに座っていた友人が「それ、更年期じゃない?」とサラリと言った。

「えっ、更年期?私まだ45歳だよ?」

更年期といえば、50代後半の人がなるものだと思っていた。
でも友人は、「プレ更年期って言って、40代前半からホルモンバランスが崩れてイライラしやすくなる人、結構いるんだよ」と教えてくれた。

帰りの電車の中、私はスマホで「更年期 イライラ 40代」と検索した。

画面に表示されたチェックリストには、「些細なことで怒ってしまう」「気分の落ち込みが激しい」「疲れが取れない」「急に汗が出る」など、今の私の症状がそのまま書かれていた。

「性格が悪くなったわけじゃない。ホルモンのせいだったんだ……」

その事実を知った時、私は少しだけ救われたような気がした。

「私のせいじゃない」と認める勇気

翌週、私は思い切って婦人科のクリニックを受診した。
血液検査の結果、やはり女性ホルモンの数値が少し下がり始めていることが分かった。

医師は優しくこう言った。
「ホルモンの波に、心が振り回されている状態です。あなたが悪いわけではありませんよ」

その言葉に、思わず泣きそうになった。

私は、漢方薬を処方してもらい、少しずつ体質改善を始めることにした。
でも、薬以上に効果があったのは、「家族に打ち明けたこと」だった。

その日の夜、私は夫と息子をリビングに呼んだ。

「あのね、最近ママがすぐ怒っちゃってたの、病気みたいなものだったの。ホルモンっていう体のリズムが崩れてて、自分でも止められなかったんだ。本当にごめんね」

息子は「ママ、病気なの?大丈夫?」と心配そうな顔をした。
夫は「そっか……。俺も、もっと手伝えばよかったね。気づかなくてごめん」と言ってくれた。

家族を「敵」から「味方」に変える

「更年期」という言葉を共有してから、我が家の空気は少しずつ変わった。

私が「あ、今ちょっとイライラしてるかも」と自己申告すると、夫は「よし、今日は俺が夕飯作るわ」とサッとキッチンに立ってくれるようになった。
息子も、「ママ、お茶こぼしたけど僕が拭くから怒らないでね!」と先回りして行動するようになった。

もちろん、今でもイライラが爆発してしまうことはある。
でも、以前のように「私がダメな母親だから」と一人で抱え込んで自己嫌悪に陥ることはなくなった。

「ごめん、今ホルモンが暴走してるから、10分だけ一人にして!」
そう言って、寝室に避難することもできるようになった。

更年期は、決して恥ずかしいことじゃない。
女性の体が次のステージに向かうための、大切な準備期間だ。
でも、その変化を一人で抱え込み、「性格が悪くなった」と自分を責め続けるのはあまりにも辛い。

もし今、些細なことで家族に怒鳴ってしまい、夜ベッドの中で自己嫌悪に泣いているママがいるなら。

「私のせいじゃない。ホルモンのせいだ」
一度、そう口に出して言ってみてほしい。
そして、その「見えない敵」の正体を、勇気を出して家族に伝えてみてほしい。

彼らは、あなたを責めるための「敵」じゃない。
状況さえ分かれば、一緒にこの嵐を乗り越えてくれる最強の「味方」になってくれるはずだから。

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