少ないレパートリーのマンネリに悩んでいた私が「献立のローテーション化」で夕飯の苦痛から解放された話

「え、また今日、ハンバーグ?」

夕食の食卓で、小学2年生の息子が不満そうに言った。
目の前のお皿には、今週2回目になる手作りハンバーグ。
隣に座る夫も、無言で箸を進めているが、その顔は明らかに「またか」と語っていた。

私は、34歳のパート主婦。
週に4日、夕方までスーパーのレジ打ちをしている。

私にとって、家事の中で一番嫌いなのが「毎日の献立を考えること」だ。

「名もなき家事」の最たるもの

料理を作ること自体は、そこまで嫌いじゃない。
でも、「何を作るか決める」という作業が、果てしなく苦痛なのだ。

冷蔵庫の残り野菜を確認し、特売品のチラシをチェックし、家族の好みを考え、昨日のメニューと被らないようにする。

この一連の作業は、立派な「名もなき家事」だ。
夫や子供たちは、「ご飯は魔法のように勝手に出てくるもの」だと思っている。

「今日、何食べたい?」と聞いても、返ってくる答えはいつも同じ。
「なんでもいいよ」「肉!」

そんな無責任な答えにイライラしながら、私は結局、自分が作り慣れている「いつものメニュー」に逃げてしまう。

カレー、唐揚げ、生姜焼き、ハンバーグ、肉じゃが。

私のレパートリーは、片手で数えられるほどしかなかった。

マンネリへの罪悪感

「またこれ?」という家族の無言のプレッシャーを感じるたび、私は密かに傷ついていた。

「もっと料理上手なお母さんだったら、毎日違うメニューを作ってあげられるのに」
「インスタで見るような、彩り豊かな一汁三菜を作れない私は、ダメな主婦なのかな」

料理本を買ってみたり、レシピアプリで新しいメニューを検索してみたりもした。
でも、いざ作ろうとすると、見慣れない調味料が必要だったり、工程が面倒だったりして、結局「いつものやつでいっか」と諦めてしまう。

マンネリ化した食卓。
喜ばない家族。
自己嫌悪に陥る私。

毎日の夕飯の時間が、私にとって一番憂鬱な時間になっていた。

「ローテーション」という魔法

ある日、スーパーのレジ打ちの休憩中に、先輩パートのAさんに愚痴をこぼした。

「毎日、献立考えるのが本当に苦痛で。レパートリーも少なくて、家族から飽きられてるんです」

するとAさんは、笑いながらこう言った。

「うちなんて、月曜日は魚、火曜日は豚肉、水曜日は鶏肉……って、1週間のメイン食材を完全に固定してるわよ。レパートリーなんて、各曜日3つくらいしか作らない」

私は驚いた。
「えっ、それだと飽きませんか?」
「飽きるかもしれないけど、私が楽なのが一番じゃない?それに、『今日は豚肉の日』って決まってるだけで、スーパーでの買い物も、夕方の準備も、劇的に楽になるのよ」

Aさんのその言葉は、目から鱗だった。

私はずっと、「毎日違うものを出さなきゃ」「レパートリーを増やさなきゃ」と、自分で自分を追い詰めていただけだったのだ。

私がラクになるための「献立固定化」

翌日から、私はAさんの真似をして「献立のローテーション化」を始めた。

月曜日は「丼ぶり(カレーか親子丼か牛丼)」
火曜日は「魚(焼くか煮るか)」
水曜日は「豚肉(生姜焼きか豚キムチ)」
木曜日は「鶏肉(唐揚げか照り焼き)」
金曜日は「麺類(うどんかパスタ)」
週末は「残り物整理の鍋か、お惣菜」

この「ざっくりとした枠」を決めただけで、毎日の「今日、何作ろう……」という苦痛から完全に解放された。

スーパーに買い物に行っても、迷うことがない。
月曜日だから鶏肉と玉ねぎを買う。火曜日だから鮭を買う。
まるで機械のように、サクサクと買い物が終わる。

家族の反応と、私の心の平穏

献立を固定化してから、不思議なことに、家族から「またこれ?」と言われることがなくなった。

「今日は木曜だから、唐揚げだよね!」
息子はむしろ、曜日ごとのメニューを楽しみにするようになったのだ。

夫も、「今日は魚か、じゃあ日本酒でも買って帰ろうかな」と、献立が予測できることを前向きに捉えてくれるようになった。

私の「少ないレパートリー」は、家族にとって「安心できる定番の味」に変わったのだ。

料理本に載っているような、おしゃれで手の込んだ料理は作れないかもしれない。
でも、私がイライラしながら作った豪華な料理より、私が鼻歌を歌いながら作った「いつもの唐揚げ」の方が、家族にとっては美味しいのだと思う。

もし、かつての私のように、献立作りに苦しんで「レパートリーが少ない」と自分を責めているお母さんがいたら。

無理して新しい料理に挑戦する必要なんてない。
「月曜日はこれ」「火曜日はこれ」と、少ない手札をローテーションで回してしまえばいい。

お母さんが「献立地獄」から解放されて笑顔になること。
それが、食卓を一番美味しくする、最高の「隠し味」なのだから。

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