独身の友人との価値観のズレに悩み疎遠になることを選んだ私が手放した罪悪感

「へえ、今度ヨーロッパ行くんだ!いいなー!」

休日の午後、久しぶりに会った学生時代の友人たちとのランチ。
スマホの画面に映る、美しい石畳の街並みと、ワイングラスを傾ける彼女の笑顔。

私は33歳。5歳の息子を育てるワーママだ。
向かいに座る友人二人は、バリバリ働く独身のキャリアウーマン。
結婚前は、仕事の愚痴や恋愛の話で何時間でも盛り上がれた、大切な仲間だった。

でも、最近は彼女たちと会うのが、少しだけ苦痛になっていた。

埋まらない「価値観のズレ」

「ねえ、来月の3連休、みんなで温泉旅行行かない?」

一人がそう提案した時、私の中で「あ、無理だ」という現実的な思考が瞬時に駆け巡った。
夫に息子を預けられるか?
もし息子が熱を出したら?
というか、温泉旅行に行けるほどの金銭的余裕が今の我が家にあるか?

「ごめん、私はちょっと厳しいかな。子供の行事もあって……」

私が申し訳なさそうに断ると、彼女たちは「そっかー、ママは大変だね」と口を揃えて言った。
その言葉に悪気がないことは分かっている。
でも、なぜかその「ママは大変だね」という言葉が、私と彼女たちの間に引かれた、越えられない線のようにも感じられた。

彼女たちが話すのは、最近買ったブランドバッグのことや、推し活の遠征のこと、仕事での昇進のこと。
どれも、私の今の日常には遠く及ばない、キラキラした世界の話だった。

私が話せることといえば、子供の野菜嫌いのことや、保育園の洗礼(風邪ループ)のことくらい。
でも、その話をしても「へえ、そうなんだ」と相槌を打たれるだけで、会話はすぐに終わってしまう。

「なんか、もう話が合わないな……」

帰り道、一人で電車に揺られながら、私はひどく落ち込んでいた。
かつてはあんなに仲が良かったのに、環境が変わっただけで、こんなにも心が離れてしまうものなのだろうか。

「会わなきゃいけない」という呪縛

それからというもの、彼女たちからLINEのグループチャットで誘いが来るたびに、私は理由をつけて断るようになった。
「今月は仕事が忙しくて」
「子供がちょっと風邪気味で」

断るたびに、罪悪感で胸がチクチクと痛んだ。
「せっかく誘ってくれているのに、断り続けるなんて冷たい奴だと思われるかな」
「このまま疎遠になったら、私、友達がいなくなっちゃうのかな」

その焦りから、無理をしてランチに参加したこともあった。
でも結果は同じだった。
彼女たちの自由な時間とお金の使い方に嫉妬し、自分の「ママとしての不自由さ」を突きつけられて、家に帰ってから夫に八つ当たりしてしまうのだ。

ある日、夫にその悩みをぽろっとこぼしてみた。

「なんかね、独身の友達と会うと、自分の生活がすごく地味で惨めに感じちゃって。でも、断るのも申し訳なくて……」

すると夫は、不思議そうな顔をしてこう言った。

「無理して会う必要、あるの?」

「友達」は、人生のフェーズで変わっていい

「昔仲が良かったからって、今も無理して話を合わせる必要なんてないでしょ。君は君の今の生活があるんだからさ」

夫のその言葉で、私はハッとした。

私は、「昔からの友達は一生の友達でなければいけない」と勝手に思い込んでいたのだ。
でも、人生のフェーズが変われば、興味や関心、お金や時間の使い方が変わるのは当然のことだ。

独身の彼女たちは、「自分」のために100%の時間とお金を使える。
私は、「家族」のために多くの時間とお金を使っている。
どちらが偉いとか、どちらが幸せだとか、そういう話ではない。
ただ、今は「見ている景色」が違うだけなのだ。

私は、彼女たちへの申し訳なさを手放すことにした。
LINEの誘いには、「今はちょっと余裕がなくて。また落ち着いたら私から声かけるね!」と正直に伝えるようにした。

それ以来、彼女たちと会う頻度は激減し、事実上の「疎遠」状態になった。

最初は少し寂しかったけれど、無理をして会っていた頃の「帰り道の虚しさ」や「自己嫌悪」は嘘のように消え去った。

その代わり、今は保育園のママ友と、公園のベンチで水筒のお茶を飲みながら「最近、野菜食べてくれなくてさー」と愚痴り合う時間が、何よりも心地よい。
キラキラした海外旅行の話はないけれど、お互いの「泥臭い日常」を共有できる戦友の存在が、今の私には一番必要なのだ。

友達関係は、変わっていい。
離れていくことに、罪悪感を抱く必要はない。

もし今、価値観のズレた友人と無理をして付き合い、帰り道にため息をついている人がいるなら。

一度、少しだけ距離を置いてみてほしい。
お互いの人生がまた交差する時が来れば、その時は自然とまた笑い合えるはずだから。
今はただ、あなたの「今の日常」を一緒に楽しめる人との時間を、大切にすればいいのだ。

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