今回は、クレジットカードの種類と選び方について解説します。
現在、国内には数千種類ものクレジットカードが存在し、それぞれに特徴や優位性があります。
初めてカードを作る方はもちろん、すでに持っている方も「本当に自分に合ったカードを選べているだろうか」と疑問に思うことがあるのではないでしょうか。
この記事では、クレジットカードの基本的な種類と、自分のライフスタイルに合った1枚を選ぶためのポイントを紹介します。
クレジットカードの基本と種類
クレジットカードとは、商品やサービスの購入時に後払いができる決済手段です。カードを利用すると、実際の支払いは後日、登録した銀行口座から引き落とされます。まずは、クレジットカードの種類について、大きく3つの分類から見ていきましょう。
1. 国際ブランドによる分類
国際ブランドとは、世界中で利用できるよう決済システムのネットワークを持つブランドのことです。主に以下の5大ブランドが有名です。
- VISA(ビザ):世界最大のシェアを持ち、利用できる店舗が多いのが特徴です。日本でのシェア率も約50%と最も高く、初めてのクレジットカードに選ぶ人が多いブランドです。
- Mastercard(マスターカード):VISAに次いで世界的に有名なブランドで、特にヨーロッパ方面に強いとされています。VISAと同様に世界中で幅広く利用できます。
- JCB(ジェーシービー):日本発の国際ブランドで、国内での加盟店数が多いのが特徴です。海外でも日本人観光客が多い地域(アジアやハワイなど)では使いやすい傾向があります。
- American Express(アメリカン・エキスプレス):高いステータスとサービスが特徴で、旅行や飲食などの特典が充実しています。年会費は比較的高めですが、それに見合うサービスを提供しています。
- Diners Club(ダイナースクラブ):世界初のクレジットカードとして知られ、会員制を重視したプレミアム感があります。レストランでの優待が充実しているのが特徴です。
2. カード発行会社による分類
クレジットカードを実際に発行する会社も様々です。大きく分けると以下のように分類できます。
- 銀行系:三井住友カード、三菱UFJカードなど、銀行グループが発行するカード。安定感があり、ATM手数料の優遇などがあることも。
- 信販系:JCB、オリコカードなど。専門的なサービスやポイントプログラムが充実していることが多いです。
- 流通系:イオンカード、楽天カードなど、小売業やネット通販会社が発行するカード。自社サービスとの連携や還元率の高さが魅力です。
- 交通系:ビューカード、JALカードなど。鉄道や航空会社が発行し、交通機関の利用でポイントが貯まりやすいのが特徴です。
3. カードランクによる分類
クレジットカードには、サービス内容や付帯特典の充実度によって、いくつかのランクが設定されています。
- 一般カード:最も基本的なカードで、年会費は無料または数千円程度。初めてクレジットカードを作る方に向いています。
- ゴールドカード:一般カードより付帯サービスが充実し、利用限度額も高めに設定されています。年会費は1万円前後が多いですが、空港ラウンジの利用や旅行保険の充実など、旅行時に便利な特典が多いのが特徴です。
- プラチナカード:ゴールドよりさらに上位のカードで、年会費は2〜3万円程度。専用のコンシェルジュサービスやホテル・レストランでの優待など、プレミアムな特典が付帯しています。
- ブラックカード:最上位のカードで、一般的には招待制。年会費は10万円以上と高額ですが、最高レベルのサービスと特典を享受できます。
クレジットカードの選び方のポイント
自分に合ったクレジットカードを選ぶには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。ここでは、特に重要な7つのポイントを紹介します。
1. 年会費とコストパフォーマンス
年会費は、クレジットカードを持つための基本的なコストです。特に初心者の方は、年会費無料または条件付き無料のカードから始めるのがおすすめです。年会費が有料のカードを選ぶ場合は、その年会費に見合った特典やサービスがあるかどうかを検討しましょう。例えば、旅行が好きな方なら、旅行保険や空港ラウンジ利用特典が付くカードは、年会費以上の価値があるかもしれません。
2. ポイント還元率
クレジットカードの大きな魅力の一つが、利用に応じて貯まるポイントです。ポイント還元率とは、利用金額に対して何%のポイントが還元されるかを示す指標です。一般的には0.5%~1.0%程度ですが、中には特定の利用シーンで5%以上の高還元率となるカードもあります。
ポイント還元率を比較する際には、以下の点に注意しましょう:
- 基本還元率(どこで使っても適用される還元率)
- 特定店舗や利用シーンでの優遇還元率
- ポイントの価値(1ポイント=何円相当か)
- ポイントの使い道や交換先の豊富さ
3. 付帯サービスと特典
クレジットカードには様々な付帯サービスや特典があります。自分のライフスタイルに合ったサービスがあるカードを選ぶと、より有効に活用できます。主な付帯サービスには以下のようなものがあります:
- 旅行傷害保険:海外・国内旅行中の事故やケガ、病気をカバーする保険です。旅行好きの方には重要なポイントです。
- ショッピング保険:カードで購入した商品の破損や盗難を補償するサービスです。
- 空港ラウンジ利用:国内外の空港ラウンジを無料または優待価格で利用できるサービスです。
- 優待割引:提携レストランやホテル、レジャー施設などで割引が受けられるサービスです。
- ETCカード:高速道路料金の支払いに便利なETCカードが発行できるかどうかも、車をよく利用する方にとっては重要なポイントです。
4. セキュリティ対策
クレジットカードを安全に利用するためには、セキュリティ対策が充実しているカードを選ぶことも重要です。最近では、カード番号が表面に記載されていない「ナンバーレスカード」や、ICチップ搭載カード、不正利用検知システムなど、様々なセキュリティ機能があります。また、万が一の不正利用時の補償内容や、24時間対応のサポートがあるかどうかも確認しておくと安心です。
5. 発行スピードと即時発行
「すぐにカードが必要」という場合は、発行スピードも重要な選択ポイントになります。通常、クレジットカードの発行には1週間~3週間程度かかりますが、中には申し込み後すぐにカード番号が発行され、オンラインショッピングなどで利用できる「即時発行」サービスを提供しているカードもあります。また、一部のカードでは、店頭で申し込みをすると当日にカードが発行される「即日発行」サービスもあります。
6. 国際ブランドの選択
前述した国際ブランドの特徴を踏まえ、自分の利用シーンに合ったブランドを選びましょう。海外での利用が多い方はVISAやMastercardが無難ですが、国内利用が中心ならJCBも選択肢になります。また、複数のカードを持つ場合は、異なるブランドを組み合わせると、より多くの加盟店で利用できて便利です。
7. 審査のしやすさ
クレジットカードを発行するには審査があります。初めてカードを作る方や、学生、フリーランスの方など、収入や雇用形態によっては審査に通りにくい場合もあります。そのような場合は、審査基準が比較的緩やかなカードや、学生向け・主婦向けなど、特定の層に向けて設計されたカードを選ぶのがおすすめです。
目的別おすすめのクレジットカード選び
自分にぴったりのクレジットカードを選ぶには、主な利用目的を明確にすることが大切です。ここでは、代表的な利用シーン別のカード選びのポイントを紹介します。
初めてクレジットカードを作る方向け
初めてクレジットカードを作る方は、まずは基本的な機能を備えた、使いやすいカードから始めるのがおすすめです。以下のポイントに注目しましょう:
- 年会費無料または条件付き無料のカード
- 基本還元率が0.5%以上あるもの
- セキュリティ対策が充実しているもの
- シンプルでわかりやすいポイントプログラム
- 国内外で使いやすいVISAやMastercardなどの国際ブランド
ポイントをたくさん貯めたい方向け
日々の買い物や公共料金の支払いなど、日常的な利用でポイントをコツコツ貯めたい方は、以下のポイントをチェックしましょう:
- 基本還元率が高いカード(1.0%以上が理想)
- よく利用する店舗やサービスで還元率がアップするカード
- ポイントの有効期限が長いもの
- ポイントの使い道が豊富なもの(現金や商品との交換、他社ポイントへの移行など)
- 定期的なポイントアップキャンペーンを実施しているカード
旅行によく行く方向け
国内外の旅行が趣味の方は、旅行関連の特典が充実したカードがおすすめです。以下のポイントに注目しましょう:
- 充実した旅行傷害保険(海外・国内)
- 航空会社やホテルのマイレージプログラムと連携したカード
- 空港ラウンジの無料利用特典
- 海外旅行時の優待サービス(レストラン割引、手荷物宅配サービスなど)
- 海外利用時の手数料が優遇されるカード
買い物をよくする方向け
ショッピングをよくする方は、買い物がよりお得になるカードを選ぶと良いでしょう。特に以下のポイントをチェックしてみてください:
- よく利用するショッピングモールやECサイトとの提携カード
- 特定の店舗やジャンルでのポイント還元率が高いカード
- ショッピング保険が充実したカード
- セールの先行案内や会員限定イベントなどの特典があるカード
- 分割払いやリボ払いの金利が低めのカード(高額商品を購入する場合)
ステータスを求める方向け
ビジネスシーンでの印象や、特別なサービスを重視する方は、ステータス性の高いカードが適しています。以下のポイントに注目しましょう:
- ゴールドカード以上のランクのカード
- デザイン性に優れたカード
- コンシェルジュサービスが充実したカード
- 高級レストランやホテルでの優待特典
- 空港での手荷物宅配サービスやVIP対応などの特典
クレジットカード選びでよくある失敗と注意点
最後に、クレジットカード選びでよくある失敗例と、注意すべきポイントを紹介します。
年会費と特典のバランスを考えない
高額な年会費を払っているのに、その特典をほとんど活用していないケースがあります。年会費がかかるカードを選ぶ場合は、その特典を十分に活用できるかどうかを考慮しましょう。例えば、ほとんど旅行に行かないのに旅行保険や空港ラウンジ特典のために高い年会費を払うのは、コストパフォーマンスが悪いといえます。
還元率だけで選ぶ
高還元率を謳うカードでも、実際の利用シーンや条件によっては思ったほどポイントが貯まらないことがあります。また、貯まったポイントの使い道が限られていたり、有効期限が短かったりする場合もあるので、還元率だけでなく、ポイントプログラムの全体像を確認することが大切です。
カードを作りすぎる
様々な特典に惹かれて多くのカードを作りすぎると、管理が煩雑になりますし、年会費の総額も増えてしまいます。また、あまりに短期間に多数のカードを申し込むと、信用情報に影響し、新たなカードの審査に通りにくくなる可能性もあります。2~3枚程度に絞り、それぞれの特徴を活かして使い分けるのが理想的です。
セキュリティ対策を軽視する
便利さや特典ばかりに目を向け、セキュリティ面を軽視すると、不正利用などのトラブルに遭うリスクが高まります。カード会社の不正利用対策や、紛失・盗難時のサポート体制なども重要な選択ポイントとして考慮しましょう。
カード会社の信頼性を確認しない
知名度の低いカード会社の中には、サービス品質やサポート体制が十分でない場合もあります。特に初めてカードを作る方は、実績と信頼性のある大手カード会社のカードを選ぶことをおすすめします。
まとめ
クレジットカードは、日常の買い物から旅行、緊急時の備えまで、様々なシーンで活躍する便利なツールです。
しかし、その種類は非常に多く、選択肢も豊富なため、自分に最適なカードを見つけるには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
また、一度カードを作ったら終わりではなく、ライフスタイルの変化に合わせて定期的に見直すことも重要です。
自分に合ったクレジットカードを賢く活用して、より豊かな生活を送りましょう。