今回は、「留学」をテーマに、2025年現在の最新トレンドや留学スタイルの多様化、留学を成功させるためのポイントについて紹介します。
グローバル化が進む現代社会において、留学は語学力向上だけでなく、異文化理解や国際的な視野を広げる貴重な機会となっています。
コロナ禍を経て大きく変化した留学事情と、新たに登場した留学形態について解説します。
2025年の留学事情 – 回復傾向にある留学者数
文部科学省の最新データによると、2023年度の日本人学生の海外留学者数は約8.9万人で、前年度比で53.3%増加しています。これはコロナ禍で大幅に減少した留学者数が回復傾向にあることを示しています。特に1か月未満の短期留学が大幅に増加しており、前年度比で約100%増となっています。
留学先として人気の国・地域は、アメリカ合衆国(13,517人)、オーストラリア(9,163人)、韓国(8,384人)となっています。特に注目すべき点として、アジア諸国への留学者数が前年度比で約110%増加しており、留学先の多様化が進んでいます。
多様化する留学スタイル
2025年の留学事情を特徴づけているのは、留学スタイルの多様化です。従来の語学留学や正規留学だけでなく、様々な形態の留学が選択肢として増えています。
1. オンライン留学の定着
コロナ禍をきっかけに急速に普及したオンライン留学は、2025年現在も多くの学生に選ばれる留学形態となっています。オンライン留学とは、日本にいながら海外の学校の授業に参加できる新しい留学スタイルです。通常の留学と比べて費用が大幅に抑えられる(約1/6~1/3程度)点や、生活環境を変えずに留学体験ができる点が魅力となっています。
オンライン留学は単独で完結するだけでなく、現地留学の前準備として活用する「ハイブリッド型留学」も増えています。オンラインで基礎固めをした後に現地留学することで、現地ではより高いレベルの学習から始められるため、留学効果を最大化できます。
2. 休学留学の増加
大学生の間では、短期留学ではなく1年間の休学留学を選択する学生が増加しています。特に「2~3ヵ月の短期留学では英語力向上に限界がある」という認識が広がり、より本格的に語学を習得するために長期間の留学を選ぶ傾向があります。休学費用など課題もありますが、より深い学びを求める学生にとって重要な選択肢となっています。
3. アジア地域への留学増加
従来の欧米中心の留学先に加え、フィリピン、マレーシア、シンガポール、台湾、韓国などのアジア地域への留学が増加しています。これらの国々は比較的費用が安く、地理的にも近いことから、特に短期留学やワーキングホリデーの行き先として人気を集めています。また、シンガポールやフィリピン、マレーシアは英語環境と比較的安定した治安を求める若年層の留学先としても注目されています。
2025年におすすめの留学先国
2025年現在、人気を集めている留学先国をいくつか紹介します。それぞれの国の特徴や魅力、留学生活のポイントを見ていきましょう。
1. オーストラリア
「laid back(のんびりした)」と呼ばれる国民性が魅力のオーストラリアは、留学初心者におすすめの国です。英語圏の中では治安が良く、語学学校においては国による認可制度があり、教育の質が一定以上の水準に保たれています。専門コースやワーホリなど留学スタイルも多彩で、充実した学びができる環境が整っています。
一年を通して暖かく天気が良いため、留学生活を快適に送れる点も魅力です。ただし、留学生の仕事探しや家探しは難しくなっているため、事前の準備や現地でのコネクション作りが重要になっています。
2. カナダ
2025年の留学先として人気の高いカナダは、毎年10月には定員に達してしまうほどの人気国となっています。特にワーキングホリデービザは早期に上限に達する傾向があるため、申請は計画的に行う必要があります。また、学生ビザの取得が厳しくなっている影響で、留学からワーキングホリデーに方針をシフトする人も増えています。
3. アジア諸国(フィリピン、マレーシア、シンガポール等)
英語環境が整いながらも欧米と比べて留学費用が約1/3程度と安いアジア諸国への留学も増加しています。特にフィリピンは独自の授業スタイルでとにかく実践英語が身につくとして人気があります。短期のお試し留学や2か国留学の1か国目としても選ばれることが多いです。
留学前に知っておきたい準備のポイント
留学を成功させるためには、事前の準備が重要です。2025年の留学事情を踏まえた上で、特に注意すべき準備のポイントを紹介します。
1. 早めの計画と申請
2025年は留学生数の増加に伴い、ビザ申請や滞在先の確保が混み合っている国もあります。また、インバウンド客の増加によって、飛行機の席の確保が厳しい路線もあります。特に人気の高いカナダやオーストラリアへの留学を考えている場合は、少なくとも半年前、できれば1年前から準備を始めることをおすすめします。
2. 留学形態の選択
自分の目的や状況に合った留学形態を選ぶことが大切です。語学力向上が主な目的なら、オンライン留学と現地留学を組み合わせたハイブリッド型留学も効果的です。また、大学生の場合は、短期留学で足りるか、休学して長期留学するかの検討も必要でしょう。
3. 費用面の準備
留学費用は国や留学形態によって大きく異なります。欧米への留学は物価が高く費用がかさむ傾向がありますが、アジア諸国への留学なら比較的費用を抑えられます。また、オンライン留学を活用することで、全体の留学費用を抑えることも可能です。奨学金や助成金の申請も忘れずに検討しましょう。
オンライン留学を活用するメリットと注意点
2025年の留学事情を語る上で欠かせないのが、オンライン留学の存在です。ここでは、オンライン留学を活用するメリットと注意点について詳しく見ていきます。
メリット
- 費用の大幅削減:航空券代、滞在費、保険料などが不要で、留学費用全体の約1/6~1/3程度に抑えられます。
- 時間の有効活用:移動時間がなく、自分のスケジュールに合わせて学習できます。
- 生活環境の維持:日本での生活を続けながら留学体験ができるため、仕事や学業との両立が可能です。
- 現地留学の準備として最適:オンラインで基礎固めをした後に現地留学することで、より高いレベルから学習をスタートできます。
注意点
- 自己管理能力が求められる:現地留学以上に「意欲的な姿勢」が重要です。授業以外で外国語を使う機会が少ないため、自ら積極的に学習する姿勢が必要です。
- 異文化体験の限界:海外生活の経験という点では現地留学に劣ります。
- ネット環境の安定性:安定したインターネット環境が必須となります。
- 時差:オンライン留学のリアルタイム授業が、日本時間の何時に行われるかを確認しましょう。国によっては日本時間の夜中に授業が行われることもあります。
留学を通じて得られるもの
留学の形態は多様化していますが、留学を通じて得られる価値は普遍的なものがあります。2025年の留学を通じて得られるものとして、特に以下の点が挙げられます。
1. 語学力の向上
留学の最も直接的な効果は、言語能力の向上です。特に「留学」という形で集中的に学習することで、日常的な学習では得られない急速な上達が期待できます。オンライン留学であっても、毎日数時間の授業を受けることで、語学力は確実に向上します。
2. 国際的な人脈形成
留学中に出会う様々な国籍の友人や教師との交流は、将来にわたって貴重な国際的なネットワークとなります。オンライン留学でも、様々な国からの参加者と交流する機会があり、オンライン上でのコミュニティ形成も可能です。
3. 異文化理解と視野の拡大
異なる文化や価値観に触れることで、物事を多角的に見る力が養われます。これは将来のキャリアにおいても大きな強みとなります。オンライン留学でも、様々な国の講師や学生との交流を通じて異文化理解を深めることができます。
まとめ – 自分に合った留学スタイルを見つけよう
2025年の留学事情は、コロナ禍前と比べて大きく様変わりしています。留学者数は回復傾向にあり、留学先や留学形態も多様化しています。特にオンライン留学の定着や休学留学の増加、アジア諸国への留学増加などが大きな特徴となっています。
留学を成功させるためには、自分の目的や状況に合った留学スタイルを選ぶことが重要です。語学力向上が主な目的なら、オンライン留学と現地留学を組み合わせたハイブリッド型留学も効果的でしょう。また、費用面や準備期間を考慮した計画的な準備も欠かせません。
留学形態は変わっても、留学を通じて得られる語学力向上や国際的な人脈形成、異文化理解といった価値は普遍的なものです。多様な選択肢の中から、自分に合った留学スタイルを見つけ、充実した留学体験を実現させましょう。