時給30円のポイ活に疲れて「意味ない」とやめた私が手に入れた本当の価値

スマホの画面を開くたび、ズラリと並んだアイコンが私を急かしてくる。

「アンケートに答えて1ポイント」
「広告動画を見て5ポイント」
「レシートを撮影して3ポイント」

私は32歳。都内で事務のパートをしながら、4歳の娘を育てている。
少しでも家計の足しになればと始めた「ポイ活」。
最初はゲーム感覚で楽しくて、「これで娘にお菓子を買ってあげよう」なんてウキウキしていた。

でも、いつの間にかそれは、私を縛り付ける鎖になっていた。

「1円」のために失っていたもの

朝起きると、布団の中でまず複数のアプリを開いてログインボーナスをもらう。
通勤電車の中では、ひたすらアンケートに答える。
買い物の後は、レシートをシワが寄らないように丁寧に広げて撮影する。

「チリツモだから」と自分に言い聞かせて、毎日毎日、スマホにへばりついていた。

ある休日の午後。
娘が「ママ、絵本読んで!」と膝に乗ってきた。
でも私は、あと10秒で終わる広告動画を見ている最中だった。

「ちょっと待ってね、これ終わったらね」

画面から目を離さずに答える私。
娘は「えー、いま読んで!」と私の腕を引っ張った。
その拍子に、指がずれて誤って広告のバナーをタップしてしまい、別のサイトに飛ばされてしまった。

「あーもう!せっかくあと少しだったのに!」

思わず声を荒げてしまった。
娘はびっくりして泣き出し、夫が「どうしたの?」と慌てて別室から飛んできた。

「ごめん、私が悪かったの」と娘を抱きしめながら、私の中に強烈な虚しさが押し寄せてきた。

たった数ポイント、金額にすれば1円にも満たないポイントのために、私は休日の娘との大切な時間を犠牲にし、あまつさえ怒鳴ってしまった。

私は、何をやっているんだろう。

「時給」を計算して気づいた絶望

その夜、私は冷静になって、自分がポイ活に費やしている時間と、実際に稼げているポイントを計算してみた。

1日約1時間半、スマホに張り付いてアンケートや動画視聴をこなしている。
それで1ヶ月に貯まるのは、せいぜい1500ポイント(1500円相当)。

計算して、絶望した。

「時給30円……?」

時給30円のために、私は毎日娘に「ちょっと待って」と言い続け、睡眠時間を削り、スマホのブルーライトで目を痛めていたのだ。

「もう、こんな意味のないポイ活はやめよう」

私は、スマホに入っていた十数個のポイ活アプリのうち、毎日の作業が必要なものをすべて削除した。
残したのは、普段の買い物で勝手に貯まるクレジットカードのポイントと、特定の日にまとめ買いするドラッグストアのポイントだけ。

「ポイ活、やめたんだよね」と夫に言うと、彼はホッとした顔をした。
「最近、ずっとスマホ見てて話しかけづらかったから、よかったよ」

その言葉に、申し訳なさで胸が痛くなった。

手放して得た「本当の価値」

ポイ活をやめてからの日々は、驚くほど穏やかになった。

朝の布団の中では、スマホの代わりに娘を抱きしめる時間が増えた。
通勤電車では、読みたかった本を読んだり、音楽を聴いてリラックスしたりできるようになった。
買い物の後、レシートを即座に捨てる爽快感といったらなかった。

もちろん、月に1500円の「副収入」はなくなった。
でも、その1500円のために失っていた「時間」と「心の余裕」は、お金には代えられない価値があった。

ポイ活自体を否定するつもりはない。
スキマ時間にゲーム感覚で楽しめる人や、情報を駆使して月に何万円も稼げる才能がある人には、素晴らしいツールだと思う。

でも、私のように「やらなきゃもったいない」と強迫観念に駆られ、時給数十円のために家族との時間を削ってしまうタイプには、毒でしかなかったのだ。

もし今、スマホの画面に追われて「疲れた」と感じている人がいるなら。

一度、自分がポイ活に使っている時間を「時給」に換算してみてほしい。
そして、その時間で「本当にやりたいこと」は何なのかを考えてみてほしい。

ポイントは、生活を豊かにするための「おまけ」だ。
おまけのために、あなたの貴重な「本編」をすり減らす必要なんて、どこにもないのだから。

→[PR]関連商品を見る

タイトルとURLをコピーしました