「また夜中に食べちゃった……」
朝起きて、キッチンのゴミ箱に捨てられたポテトチップスの空袋を見て、私は自己嫌悪で胸がいっぱいになった。
私は、35歳の専業主婦。
4歳の息子と1歳の娘を育てている。
産後からずっと体重が戻らず、妊娠前よりプラス8キロのままだ。
「今日から絶対にダイエットする!」
毎朝そう決意するのに、夜になるとその誓いはどこかへ消え去ってしまう。
キッチンの「秘密の引き出し」
私のダイエットを阻む一番の敵は、「夜のストレス食い」だった。
日中、イヤイヤ期の息子と、後追いが激しい娘の相手で、休む暇は一秒もない。
トイレに行くことすら我慢し、お昼ご飯は子供たちが残した冷たいご飯を立ち食いする毎日。
夕方、夫が帰宅する頃には、私の体力と気力は完全にすり減っている。
それでも休むことは許されず、夕飯を作り、子供たちをお風呂に入れ、寝かしつける。
22時。
子供たちがようやく眠りにつき、家の中が静まり返る。
その瞬間、私の中で何かのスイッチが入るのだ。
私は、キッチンのシンク下にある「秘密の引き出し」を開ける。
そこには、子供たちには内緒で買っておいた、チョコレートやスナック菓子がぎっしり詰まっている。
それを無心で口に運ぶ。
甘いもの、しょっぱいもの、また甘いもの。
食べている瞬間だけは、日中のイライラや疲労感がスッと消えていく気がした。
自分へのご褒美だと言い聞かせながら、気づけば袋が空になっている。
痩せない体と落ち込む心
翌朝、胃もたれと罪悪感で目が覚める。
「なんであんなに食べちゃったんだろう」
「私って、本当に意志が弱い」
鏡に映る自分を見るのが嫌になった。
昔着ていたお気に入りの服は、どれもこれもチャックが閉まらない。
公園で他のママたちがスリムなジーンズを履きこなしているのを見ると、ダボッとしたチュニックで体型を隠している自分が惨めに思えた。
ある日、夫が何気なく言った一言が、私の心にグサリと刺さった。
「あれ、その服、なんかキツそうじゃない?マタニティ?」
悪気はないと分かっていても、涙が出そうになった。
「もうすぐ痩せるから!」と強がってみたものの、夜になればまた「秘密の引き出し」を開けてしまう自分がいた。
「ストレス食い」の正体
そんな日々が続いていたある日。
子供たちを寝かしつけた後、いつものように引き出しを開けようとした時、ふと手が止まった。
「私、今、本当にお腹が空いているのかな?」
自分の胸に問いかけてみた。
答えは「ノー」だった。
お腹が空いているわけじゃない。
ただ、「何かで心を満たしたい」だけだった。
日中、自分の思い通りにならない育児。
夫へのちょっとした不満。
誰からも「お疲れ様」と言われない孤独感。
それらを紛らわすための「手っ取り早い手段」が、私にとっては「食べること」だったのだ。
「食べる」以外の逃げ道を見つける
ストレスの原因が育児や家事である以上、それをゼロにすることはできない。
だったら、「ストレス解消法」を食べること以外にシフトするしかない。
その日から、私は「夜の過ごし方」を少しだけ変えることにした。
子供たちが寝静まった後、キッチンの引き出しではなく、お風呂場へ向かう。
好きな香りの入浴剤を入れて、お気に入りのYouTubeを見ながらゆっくりお湯に浸かる。
お風呂から上がったら、温かいハーブティーを淹れて、雑誌を読む。
最初は、どうしてもお菓子が食べたくなってソワソワした。
でも、温かいお茶を飲んで、少しだけ贅沢な時間を過ごしていると、不思議と「食べたい」という欲求が薄れていった。
自分を許すというダイエット
「夜のストレス食い」をやめてから、体重は少しずつ、本当に少しずつだけれど減り始めた。
劇的な変化ではない。
でも、「自分をコントロールできている」という実感が、私に自信を取り戻させてくれた。
今でも、たまには夜中にチョコレートを一つだけ食べることはある。
でも、以前のような「自己嫌悪」はなくなった。
「今日は特別に頑張ったから、これくらいはいいよね」と、自分を許せるようになったからだ。
ストレス食いをしてしまう自分を、「意志が弱い」と責めないでほしい。
それは、あなたが毎日、限界まで頑張っている証拠なのだから。
もし今、夜中のキッチンで一人泣きそうになりながらお菓子を食べているお母さんがいたら。
食べるのをやめる前に、まずは「今日一日、本当にお疲れ様」と自分を抱きしめてあげてほしい。
心が満たされれば、きっと体も、過剰なエネルギーを求めなくなるはずだから。