今回は、キャリアアップや転職を考える社会人の方に向けて、人気の資格をジャンル別にご紹介します。
働きながら資格取得を目指す方にとって、限られた時間を有効に使うためにも、事前に難易度や勉強時間を把握しておくことは重要です。
資格取得のメリットと選び方のポイント
社会人が資格を取得するメリットには、以下のようなものがあります。
- 専門知識やスキルを客観的に証明できる
- 転職・就職活動で有利になる
- 昇給・昇進の可能性が高まる
- 資格手当が支給される場合がある
- 独立・開業の選択肢が広がる
資格選びで失敗しないためには、以下のポイントを考慮することが大切です。
- 自分のキャリアプランに合った資格を選ぶ
- 現在の知識レベルや経験に合った難易度の資格を選ぶ
- 業界のニーズや将来性を考慮する
- 勉強時間や費用対効果を検討する
難易度の基準について
本記事では、資格の難易度を以下の5段階で表示しています。
- S(超難関):合格率10%以下、勉強時間1000時間以上
- A(難関):合格率10~20%、勉強時間600~1000時間程度
- B(中級):合格率20~30%、勉強時間300~600時間程度
- C(初級上位):合格率30~50%、勉強時間100~300時間程度
- D(入門):合格率50%以上、勉強時間100時間以下
なお、勉強時間は独学の場合の目安であり、個人の学習能力や経験によって差があります。通信講座やスクールを利用することで、効率的に学習できる場合もあります。
ビジネス・事務系の人気資格
日商簿記検定
経理・財務分野で最も知名度が高く、社会人に人気の資格です。企業の経理部門だけでなく、一般的なビジネスパーソンにも役立つ知識を習得できます。
- 日商簿記3級
- 難易度:D
- 勉強時間:40~80時間
- 合格率:約70%
- 内容:基本的な商業簿記の知識
- 日商簿記2級
- 難易度:C
- 勉強時間:120~200時間
- 合格率:約45%
- 内容:商業簿記と工業簿記の知識
- 日商簿記1級
- 難易度:A
- 勉強時間:500~800時間
- 合格率:約20%
- 内容:高度な商業・工業簿記、会計学、原価計算
簿記検定は経理職への転職を考えている方には特におすすめです。未経験でも2級があれば、経理の基礎知識があると評価されます。3級から順に取得していくのが一般的です。
MOS(Microsoft Office Specialist)
Microsoft Officeの操作スキルを証明する国際資格です。事務職全般で役立つスキルを習得できます。
- MOS一般レベル
- 難易度:D
- 勉強時間:20~50時間
- 合格率:約80%
- 内容:Word、Excel、PowerPointなどの基本操作
- MOSエキスパートレベル
- 難易度:C
- 勉強時間:50~100時間
- 合格率:約60%
- 内容:Officeソフトの高度な操作・活用
パソコンスキルは多くの職種で求められるため、基本的なスキルとして持っておくと便利です。特にExcelのエキスパートレベルは、データ分析など幅広い業務で評価されます。
ビジネス会計検定
- 3級
- 難易度:D
- 勉強時間:30~60時間
- 合格率:50%以上
- 2級
- 難易度:C
- 勉強時間:80~150時間
- 合格率:30~40%
財務諸表を理解する「会計リテラシー」の向上を目的とした資格です。簿記と違い、財務諸表の読み方や分析に重点を置いており、経営判断に役立つ知識を身につけられます。
ファイナンシャルプランナー(FP)
- 3級FP技能士
- 難易度:D
- 勉強時間:40~80時間
- 合格率:70%前後
- 2級FP技能士
- 難易度:C
- 勉強時間:100~200時間
- 合格率:50%前後
資産運用、保険、税金、不動産、相続など、お金に関する幅広い知識を身につけられる資格です。金融業界や保険業界での就職・転職に有利となります。自分自身の生活設計にも役立つ知識が習得できます。
IT・情報系の人気資格
ITパスポート
- 難易度:D
- 勉強時間:40~80時間
- 合格率:約50%
IT分野の基礎知識を証明する国家資格です。IT系の仕事をしていない方でも、基本的なITリテラシーを身につけるのに最適です。昨今のデジタル化に対応するため、多くのビジネスパーソンに推奨されています。
基本情報技術者試験
- 難易度:C
- 勉強時間:200~300時間
- 合格率:20~30%
IT技術者としての基本的な知識と技術を証明する国家資格です。プログラミングの基礎からシステム開発、セキュリティなど幅広い分野の知識が問われます。IT業界への就職・転職を考えている方におすすめです。
応用情報技術者試験
- 難易度:B
- 勉強時間:300~500時間
- 合格率:20%前後
基本情報技術者よりも高度なIT知識とスキルを証明する国家資格です。IT分野での中堅技術者としての能力が問われます。ITエンジニアのキャリアアップを目指す方に適しています。
情報セキュリティマネジメント
- 難易度:C
- 勉強時間:150~250時間
- 合格率:30%前後
情報セキュリティに特化した知識を証明する国家資格です。セキュリティ対策の重要性が高まる現代において、需要が増加している資格の一つです。IT部門だけでなく、一般の管理職にも役立つ知識が習得できます。
法律・行政系の人気資格
行政書士
- 難易度:B
- 勉強時間:500~700時間
- 合格率:10~15%
官公署に提出する書類の作成や手続きの代行を行うことができる国家資格です。独立開業の道もあり、将来的に安定して稼げる仕事として人気があります。受験資格に制限がなく、誰でも挑戦できるのが特徴です。
宅地建物取引士(宅建)
- 難易度:C
- 勉強時間:300~400時間
- 合格率:15~20%
不動産取引のプロフェッショナルとして、売買や賃貸の仲介などに欠かせない国家資格です。不動産業界だけでなく、建築や金融業界でも重宝されます。受験資格に制限がなく、合格すれば就職や転職に有利です。
社会保険労務士(社労士)
- 難易度:B
- 勉強時間:600~800時間
- 合格率:10%前後
労働・社会保険関連の手続き代行や相談業務を行うことができる国家資格です。人事・労務管理のエキスパートとして、企業内での活躍や独立開業が可能です。働き方改革や社会保険制度の複雑化により、需要が高まっています。
金融・経済系の人気資格
証券アナリスト
- 難易度:A
- 勉強時間:700~1000時間
- 合格率:20%前後
証券投資・企業評価のプロフェッショナルとしての知識と能力を証明する資格です。金融機関だけでなく、一般企業のIR部門や財務部門でも評価されます。難易度は高いですが、キャリアアップや年収アップに大きく貢献します。
公認会計士
- 難易度:S
- 勉強時間:1500~3000時間
- 合格率:10%以下
企業の財務情報を監査する、株式公開支援を行うなど、経済社会のあらゆるシーンで力を発揮できる国家資格です。弁護士・医師と並ぶ三大国家資格の一つとして社会的地位が高く、将来性・安定性も抜群です。
税理士
- 難易度:A
- 勉強時間:1000~2000時間
- 合格率:10~20%
税務に関する専門家として、確定申告や税務相談、会計帳簿の作成などを行う国家資格です。5科目の試験に合格する必要がありますが、科目ごとに合格を積み重ねることができるため、働きながらでも取得を目指せます。
技術・専門系の人気資格
電気工事士
- 第二種電気工事士
- 難易度:D
- 勉強時間:50~100時間
- 合格率:40~50%
- 第一種電気工事士
- 難易度:C
- 勉強時間:200~300時間
- 合格率:30%前後
電気工事に関する国家資格で、電気設備の工事や保守管理を行うために必要です。電気関連の仕事を考えている方におすすめで、手に職をつけたい方にも人気があります。
危険物取扱者
- 乙種4類
- 難易度:D
- 勉強時間:30~60時間
- 合格率:50%前後
ガソリンや灯油などの危険物を取り扱うために必要な国家資格です。特に乙種4類は自動車関連業界や工場などで需要が高く、比較的短期間で取得できるため、社会人に人気があります。
中小企業診断士
- 難易度:A
- 勉強時間:800~1200時間
- 合格率:10%前後
経営コンサルタントとして唯一の国家資格であり、中小企業の経営課題の解決や経営改善のアドバイスを行います。経営全般に関する幅広い知識が求められるため難易度は高いですが、独立開業やキャリアアップに大きく貢献します。
語学・国際系の人気資格
TOEIC L&R
英語によるコミュニケーション能力を証明する世界共通のテストです。スコアによって以下のように難易度と勉強時間が変わります。
- 600点レベル
- 難易度:D
- 勉強時間:100~200時間
- 730点レベル
- 難易度:C
- 勉強時間:300~500時間
- 860点以上
- 難易度:B
- 勉強時間:500~800時間以上
グローバル化が進む現在、英語力は多くの企業で評価されます。採用時や人事評価でTOEICスコアを重視する企業も少なくありません。
実用英語技能検定(英検)
- 準2級・2級
- 難易度:D
- 勉強時間:100~200時間
- 合格率:40~50%
- 準1級
- 難易度:C
- 勉強時間:300~500時間
- 合格率:30%前後
- 1級
- 難易度:B
- 勉強時間:800時間以上
- 合格率:10%前後
英検は読む・書く・聞く・話すの4技能をバランスよく測定する試験です。英語力の証明として広く認知されており、転職や海外勤務の際にアピールポイントとなります。
資格取得の際のポイントと注意点
働きながら資格取得を目指すためのコツ
- 計画的な学習スケジュールを立てる:毎日の勉強時間を決め、習慣化することが重要です。
- 効率的な学習方法を選ぶ:通勤時間や隙間時間を活用したり、オンライン講座やアプリを利用するなど、自分に合った方法を見つけましょう。
- モチベーションを維持する工夫をする:小さな目標を設定して達成感を味わったり、同じ資格を目指す仲間を見つけたりすると効果的です。
- 通信講座やスクールを利用する:独学が難しい場合は、プロのサポートを受けることで効率よく学習できます。
資格選びの注意点
- 難易度が低すぎる資格に注意:誰でも簡単に取得できる資格は、転職や昇進にあまり影響しない場合があります。
- 知名度の低い資格に注意:どんなに難易度が高くても、企業に認知されていない資格では評価されにくいことがあります。
- 将来性を考慮する:業界のトレンドや技術革新により、需要が減少する資格もあります。長期的な視点で選びましょう。
- コストパフォーマンスを検討する:受験料や教材費、講座費用と取得後のメリットを比較して検討することが大切です。
まとめ
社会人に人気の資格は、ジャンルや難易度によって様々です。自分のキャリアプラン、現在の知識レベル、勉強に充てられる時間などを考慮して、最適な資格を選ぶことが大切です。
また、資格取得はゴールではなく、キャリア形成のための一つの手段です。資格で得た知識やスキルを実務で活かし、さらに高めていくことで、真の「専門性」が身についていきます。
計画的に準備を進め、着実に目標達成を目指しましょう。