物語を紡ぎ、誰かに届けたいという思いは、多くの人が抱く創造的な欲求の一つです。
しかし、いざ「小説を書きたい」と思い立っても、何から手をつければよいのか分からず、最初の一歩を踏み出せないケースは少なくありません。
今回は、小説執筆の未経験者や初心者を対象に、アイデアの着想から作品を完結させるまでの具体的なプロセスを5つのステップで解説します。
執筆における迷いを減らし、創作活動をスムーズに進めるための実践的なノウハウを紹介します。
1. 準備編:書く前の「3つの決定」
いきなり本文を書き始めるのではなく、まずは作品の土台となる要素を決定します。これにより、執筆中の方向性のブレを防ぐことができます。
ジャンルとターゲットを決める
「誰に」「何を」読んでもらいたいのかを明確にします。ミステリー、ファンタジー、恋愛、SFなど、書きたいジャンルを選定します。同時に、想定する読者層(ターゲット)をイメージすることで、適切な言葉選びや物語の展開が決まりやすくなります。
作品の長さを決める
初心者が最初に直面する壁の一つが、物語を完結させられないことです。まずは、数千文字から1万文字程度の短編小説から始めることを推奨します。短い物語を完結させる経験を積み重ねることで、構成力と自信を養うことができます。
「一行ログ」でテーマを言語化する
その作品で最も伝えたいこと(テーマ)を、一行の文章で表現してみます。「困難に立ち向かう勇気」や「失われた友情の再生」など、核となるメッセージを明確にしておくことで、ストーリーの一貫性が保たれます。
2. 設計編:魅力的なキャラクターと世界観
物語を動かすのはキャラクターです。読者が共感し、応援したくなるような人物像を作り込むことが重要です。
キャラクター履歴書を作成する
主要な登場人物については、履歴書を作るように詳細を設定します。
- 名前、年齢、外見
- 性格(長所と短所)
- 生い立ち、過去のトラウマ
- 物語における目的(動機)
特に重要なのは「欠点」や「コンプレックス」の設定です。完璧な人間よりも、何らかの弱さを持ったキャラクターの方が、読者は親近感を抱きやすく、物語の中で成長を描きやすくなります。
世界観のルールを定める
ファンタジーやSFの場合、その世界独自のルール(魔法の制約、科学技術の限界など)を設定します。現代ドラマであっても、舞台となる場所の雰囲気や社会的な背景を具体的にイメージしておくことで、描写にリアリティが生まれます。
3. 構成編:プロットは「設計図」
プロットとは、物語のあらすじや構成案のことです。プロットなしで書き始めると、途中で話の展開に行き詰まる原因となります。
「起承転結」で骨組みを作る
基本的な構成として「起承転結」を活用します。
- 起(導入):登場人物と舞台の紹介、物語の始まりとなる事件。
- 承(展開):事件に対する主人公の行動、障害や葛藤の発生。
- 転(クライマックス):最大の危機、物語の核心に迫る劇的な変化。
- 結(結末):事件の解決、物語の締めくくり、主人公の成長。
この骨組みに沿って、各シーンで「誰が」「何をして」「どうなるか」を箇条書きにしていきます。この段階で物語の全体像を把握しておくことが、完結させるための鍵となります。
4. 執筆編:完結させるためのコツ
準備が整ったら、いよいよ執筆を開始します。しかし、多くの人がここで筆を止めてしまいます。完結させるためのポイントを押さえておきましょう。
「下手でもいいから最後まで書く」
最初から完璧な文章を書こうとすると、どうしても筆が止まってしまいます。まずは質よりも量を重視し、プロットに沿って最後まで書き切ることを最優先してください。修正は後からいくらでもできます。
執筆ツールを活用する
効率的に執筆するために、自分に合ったツールを選びます。PCのテキストエディタはもちろん、スマートフォンで隙間時間に執筆できるアプリや、アウトライン機能が充実した執筆専用ソフトなどを活用することで、作業効率が向上します。
5. 推敲編:一晩寝かせて読み直す
初稿が完成したら、すぐに推敲するのではなく、一晩から数日ほど時間を置きます。頭を冷やしてから読み直すことで、客観的な視点で作品を見直すことができます。
チェックポイント
- 誤字脱字はないか
- ストーリーに矛盾はないか(伏線の回収漏れなど)
- キャラクターの行動やセリフに違和感はないか
- 読みやすいリズムになっているか(声に出して読んでみるのが効果的です)
まとめ
小説を書くことは、自分だけの世界を創造する素晴らしい体験です。最初は思うように書けないこともあるかもしれませんが、大切なのは「書き続けること」と「作品を完結させること」です。
まずは短い物語からで構いません。今日から、あなたの頭の中にある物語を少しずつ言葉にしてみてください。一つの作品を書き上げた時の達成感は、次の創作への大きな原動力となります。