【2025年】住宅ローン選びで失敗しないために知っておきたい変動金利vs固定金利の真実

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今回は、住宅ローンを検討する際に最も悩むポイントの一つである「変動金利と固定金利、どちらを選ぶべきか」という問題について解説します。

住宅ローンを取り巻く2025年の最新状況

まず、現在の住宅ローンを取り巻く状況を把握しましょう。2024年3月にマイナス金利政策が解除され、その後2024年7月と2025年1月に日銀による追加利上げが行われました。2025年1月の金融政策決定会合では政策金利が0.5%まで引き上げられ、2025年7月の金融政策決定会合では据え置きが決定されました。

しかし、専門家の間では「2025年度内にさらなる追加利上げがあるのではないか」という見方が広がっています。実際に2025年8月現在、変動金利の相場は0.6~0.7%台となっており、2024年4月時点の0.3~0.4%台から大きく上昇しています。

この金利上昇の動きは、住宅ローンを組む人にとって重要な判断材料となります。金利選びを誤ると、数百万円単位で返済総額が変わってくる可能性もあります。

変動金利と固定金利の基本的な違い

住宅ローンの金利タイプには大きく分けて「変動金利」と「固定金利」があります。それぞれの特徴を理解することが、最適な選択への第一歩です。

変動金利とは

変動金利は、市場金利の動向に合わせて定期的に金利が見直されるタイプです。多くの金融機関では、短期プライムレート(銀行の優良企業向け貸出金利)を基準に金利が決められており、年2回(4月1日と10月1日)に見直しが行われるのが一般的です。

短期プライムレートは日銀の政策金利の影響を強く受けるため、日銀が利上げをすると変動金利も上昇する傾向にあります。ただし、金融機関間の競争もあり、必ずしも政策金利の上昇幅と同じだけ上がるわけではありません。

固定金利とは

固定金利には「全期間固定金利型」と「固定金利期間選択型(当初固定型)」の2種類があります。全期間固定金利型は、借入れから完済まで金利が変わらないタイプで、代表的なものに「フラット35」があります。

固定金利期間選択型は、2年、3年、5年、10年などの一定期間だけ金利が固定され、その後は変動金利に移行するか、再度固定期間を選択するタイプです。固定金利は一般的に10年国債利回りなどの長期金利の影響を受けます。

変動金利のメリットとデメリット

変動金利の最大のメリットは、現在の低金利相場においては固定金利よりも金利が低く設定されていることです。2025年8月現在、変動金利は多くの金融機関で0.6~0.7%台となっており、全期間固定型の1.8%台と比べるとかなり低い水準です。

変動金利のメリット

  • 借入時の金利が固定金利より低いため、当初の返済負担が軽い
  • 金利が低下した場合は、その恩恵を自動的に受けられる
  • 多くの金融機関で、返済額急増を防ぐ「5年ルール」や「125%ルール」がある
  • 固定金利に比べて手数料が安いケースが多い

変動金利のデメリット

  • 金利上昇局面では返済額が増加するリスクがある
  • 将来の金利変動が予測できないため、長期的な返済計画が立てにくい
  • 5年ルールや125%ルールにより返済額が抑えられても、未払利息が発生する場合がある
  • 未払利息が発生すると、最終返済時に一括で支払う必要が生じることがある
  • 金利上昇が急激に続くと、返済額がすべて利息に充当され、元金がまったく減らないケースもある
  • 金利上昇が続くと、返済額に占める元金の割合が減り、返済が進みにくくなる

固定金利のメリットとデメリット

一方、固定金利は金利変動リスクがないという大きなメリットがあります。特に、今後さらなる金利上昇が予想される現在の経済環境では、固定金利の安定性が見直されています。

固定金利のメリット

  • 借入期間中、金利が変わらないため将来の返済計画が立てやすい
  • 金利上昇局面でも返済額が増えないため、家計への影響を心配する必要がない
  • 市場金利が上昇した場合でも影響を受けない安心感がある
  • 金利の先高観がある現在では、将来的に有利になる可能性がある

固定金利のデメリット

  • 借入時の金利が変動金利より高く設定されている
  • 市場金利が低下しても、契約時の金利は変わらないため恩恵を受けられない
  • 固定期間選択型の場合、固定期間終了後の再選択時に手数料がかかることがある
  • 全期間固定型は、途中での借り換えに制約がある場合がある

金利選択のポイント:あなたに合った選び方

変動金利と固定金利、どちらが良いかは一概には言えません。それぞれのライフプランや経済状況、リスク許容度によって最適な選択は異なります。以下の観点から自分に合った金利タイプを検討しましょう。

変動金利が向いている人

  • 収入に余裕があり、金利上昇にも対応できる経済的余力がある人
  • 金融や経済の動向に関心があり、必要に応じて借り換えなどの対応ができる人
  • 将来的に収入増加が見込める人(昇進や共働きなど)
  • 借入期間が比較的短い人や借入額が小さい人
  • 繰り上げ返済を積極的に行う予定がある人

固定金利が向いている人

  • 金利変動リスクを避け、安定した返済計画を立てたい人
  • 住宅ローン返済後の家計に余裕があまりない人
  • 長期間(30年以上)の借入れを予定している人
  • 将来的な金利上昇に不安を感じている人
  • 金融や経済の動向にあまり関心がない、または時間をかけられない人

変動金利の5年ルールと125%ルールを理解する

変動金利の大きなポイントとして、「5年ルール」と「125%ルール」と呼ばれる仕組みがあります。これらは金利上昇による返済負担の急増を抑える保護策ですが、完全に金利リスクを排除するわけではありません。

5年ルールとは

5年ルールとは、変動金利で借り入れた場合、金利が上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらないというルールです。半年ごとに金利見直しは行われますが、返済額自体は借入から5年後(6年目)に初めて見直されます。その後も5年ごと(11年目、16年目…)に返済額の見直しが行われます。

これにより、金利上昇に伴う家計への急激な負担増を防ぐことができますが、返済額は変わらなくても、返済額の内訳(元金と利息の割合)は変化します。金利が上昇すると、返済額に占める利息の割合が増え、元金の割合が減るため、結果的に元金の減少スピードが遅くなります。

125%ルールとは

125%ルールとは、5年ごとの返済額見直し時に、前回までの返済額の1.25倍(125%)を超えて増額されないというルールです。例えば、毎月10万円の返済だった場合、次の見直しでは最大でも12.5万円までしか上がりません。

このルールも返済負担の急増を防ぐ役割を果たしますが、金利が大幅に上昇した場合、本来支払うべき利息をカバーできなくなり、「未払利息」が発生するリスクがあります。未払利息は、翌月以降に繰り越されますが、最終的には返済期間終了時に一括で支払う必要があるケースもあります。

未払利息のリスク

金利が急激に上昇した場合、5年ルールや125%ルールによって返済額の上昇が抑えられると、本来支払うべき利息の全額を返済できない状態になることがあります。この支払えなかった利息が「未払利息」です。

未払利息が発生すると、元金の減少が止まり、返済が進まなくなる可能性があります。最悪の場合、返済額のすべてが利息に充当され、元金がまったく減らないという状況も起こり得ます。多くの金融機関では、未払利息は最終返済時に一括で支払うことになりますが、これが大きな負担になる可能性があります。

このリスクを回避するためには、金利上昇局面では繰り上げ返済をして元金を減らす、あるいは固定金利に切り替えるなどの対策を検討することが重要です。変動金利を選ぶ場合は、このような未払利息のリスクも考慮した上で判断しましょう。

第3の選択肢:ミックスローンという考え方

変動金利か固定金利かの二者択一以外に、最近注目されているのが、両方の特徴を組み合わせた「ミックスローン」です。これは、借入総額の一部を変動金利、残りを固定金利で借りる方法です。

例えば、借入総額3,000万円のうち2,000万円を固定金利、1,000万円を変動金利で借りるといった組み合わせが可能です。この方法なら、金利上昇リスクを抑えつつも、現在の低金利のメリットも一部享受できます。

ミックスローンは、「どちらが正解かわからない」という不安に対する現実的な解決策と言えるでしょう。特に今のような金利の転換期には、リスク分散の観点からも検討する価値があります。

まとめ:後悔しない住宅ローン選びのために

住宅ローンの金利選びは、長期間にわたって家計に影響を与える重要な決断です。変動金利と固定金利にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらが正解かは将来の金利動向によって変わってきます。

重要なのは、「自分の状況に最適な選択」をすることです。収入やライフプラン、リスク許容度を考慮して、自分に合った金利タイプを選びましょう。また、複数の金融機関を比較検討することも大切です。金利だけでなく、諸費用や特約内容なども含めて総合的に判断することが、後悔しない住宅ローン選びにつながります。

変動金利を選択する場合は、5年ルールや125%ルールの仕組みと未払利息のリスクをよく理解し、金利上昇に備えた対策(繰り上げ返済の資金確保など)を考えておくことが大切です。固定金利を選択する場合は、金利の先高観がある現在、将来的に有利になる可能性も視野に入れて検討しましょう。

また、ミックスローンという選択肢も視野に入れることで、リスク分散をはかることも考えられます。金利環境が変化している今だからこそ、自分自身の状況に合った最適な選択をすることが重要です。

最後に、住宅ローンは定期的に見直す姿勢も重要です。金利環境や自分のライフステージの変化に応じて、借り換えや繰り上げ返済なども検討しながら、最適な返済計画を維持していきましょう。

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