出産時に立ち会った夫が役に立たないと気づいた瞬間の体験談

陣痛室のベッドの上で、私は絶望していた。

痛みの波が来るたびに、息も絶え絶えになっている私。

「痛い……痛い……」

その横で、夫はスマホゲームに夢中だった。

「……ちょっと、腰さすってよ」

必死に声を絞り出しても、
「あ、ごめん。今いいところだから」と画面から目を離さない。

この瞬間、私の中で何かが冷たく弾けた。

イクメン気取りの夫と、初めての出産への期待

私たち夫婦は、結婚3年目で初めての子どもを授かった。

妊娠中から、夫は「自称・イクメン」だった。

友人や会社の同僚には「俺、立ち会い出産するんだよね。妻をしっかりサポートするつもり!」と誇らしげに語っていた。

その言葉を信じて、私は心強く思っていた。

休日は一緒にベビー用品を選びに行き、両親学級にも参加。

テニスボールを使ったマッサージの練習も念入りに行い、「俺に任せておけ」と胸を張っていた夫。

準備は万端のはずだった。

いざ陣痛が始まり、深夜に病院へ向かうタクシーの中でも、
夫は「大丈夫?俺がついているからね。深呼吸して」と励ましてくれていた。

私は、この人と結婚して本当によかったと、痛みに耐えながらも感動すら覚えていた。

陣痛室での残酷な現実

しかし、陣痛室に入って数時間が経過した頃。

痛みが徐々に強くなり、間隔も短くなってきた。

私はもう、声も出せないほどの激痛に耐えていた。

最初は「頑張れ」と背中をさすってくれていた夫だったが、
長引く陣痛に飽きたのか、次第にソファに深く座り込み、スマホをいじり始めた。

そして、冒頭の出来事である。

信じられなかった。

私が命がけで痛みと闘っているのに。
これから二人の愛の結晶である子どもが生まれようとしているのに。

痛みの波が少し引いた隙に、私はなんとか口を開いた。

「テニスボール……マッサージしてって言ったよね?」

夫はめんどくさそうに顔を上げ、
「え?カバンの中に入ってるんじゃない?どこにあるの?」

カバンから探そうともせず、ただ私を見下ろすだけ。

痛みの波が再び襲ってきた。

私は冷静に悟った。

あ、この人、本当に役に立たないんだ。

助産師さんの神対応と夫の無力さ

見かねた助産師さんが、すっと私の背中に手を当ててくれた。

的確な位置、絶妙な力加減。

「お母さん、よく頑張ってるね。ゆっくり息を吐いて。大丈夫、赤ちゃんも一緒に頑張ってるよ」

その温かい手と声に、私は思わず涙が溢れた。

助産師さんは、ソファで寝そべる夫に向かって、ピシャリと言った。

「お父さん。奥さんは今、一人で闘ってるんじゃないんですよ。
あなたが今やるべきことは、ゲームですか?それとも奥さんを支えることですか?」

夫はハッとして慌ててスマホをしまったが、
その後もオロオロするばかり。

どう触れたらいいのかわからないのか、ただ突っ立っているだけ。

結局、分娩室に入るまでの間、ずっと私を支え続けてくれたのは助産師さんだった。

分娩室での「ただいるだけ」の夫

いよいよ子宮口が全開になり、分娩室へ移動。

夫も一緒に入ってきたが、私はもう彼に1ミリも期待していなかった。

「頑張れ!頑張れ!もう少しだよ!」

やたらと声だけは大きい夫。

でも、私が本当に欲しかったのは、そんな的外れな声援じゃない。

ただ無言で手を強く握ってくれることだったり、
額の汗を優しく拭いてくれることだったり。

私が痛みで身をよじっているのに、夫はただおろおろと見ているだけ。

結果的に、夫は立ち会った「だけ」の観客だった。

出産を終えて、私の中で変わったもの

数時間の激闘の末、無事に元気な女の子を出産した。

産声を聞いた瞬間、夫は「やったー!」と大泣きしていた。

感動の涙を流す夫を見て、私は不思議なほど冷静で、少し冷めてすらいた。

立ち会い出産は、夫の無力さと頼りなさを痛感するだけの時間になってしまった。

でも、これでよかったのかもしれない。

私は母親として、たった一人でもこの子を守っていく覚悟が決まったのだ。

夫に期待しすぎるのはやめよう。

これからは、私が主導権を握って育児をしていくんだ。

我が子を抱きながら、そう強く心に誓った。

夫への期待値を下げることで得られた平穏

退院後、夫は相変わらず「育児を手伝うよ!」と意気込んでいた。

でも、私は「手伝う」という言葉にイライラすることはなかった。

だって、あの陣痛室でのポンコツな姿を見ているから。

最初から「この人は自発的には何もできない」と思って接すると、驚くほど心が軽くなった。

少しでも何かしてくれた時に「ありがとう」と素直に言えるようになった。

言われた通りにオムツを替えてくれた。
私が指示した分量のミルクを作ってくれた。

それだけで十分、上出来だ。

期待しないことで、無駄なストレスから完全に解放された。

出産を控えるプレママたちへ伝えたいこと

もし今、立ち会い出産を希望しているなら。

事前に「具体的に何をしてほしいか」をリスト化し、何度もシミュレーションしておくことを強くおすすめする。

男性は、言われないと本当に動けない生き物だから。

「陣痛が来たら腰を強くさすって」
「喉が渇いたらストローで飲み物を飲ませて」
「ただ手を握っていて」

そして、もし当日、夫が想像以上に役に立たなくても、決して自分を責めないでほしい。

それはあなたの教え方が悪かったからじゃない。

助産師さんというプロに頼り切ればいい。

出産は、女性が自分でも驚くほどの強さを発揮する瞬間だ。

夫の役に立たなさを後から笑い話にできるくらい、
あなたは母親として、絶対に強くなれる。

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