今回は、社会全体で急速に進む「キャッシュレス化」の波に、シニア世代の方が無理なく、そして安心して乗るためのヒントについてお話しします。
お買い物の際、レジで現金を使わずにスマートフォンやカードで支払いをする人の姿を見かけることがすっかり日常の風景となりました。便利そうだと感じる一方で、「スマートフォンの操作が難しい」「目に見えないお金を使うのはなんとなく不安」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、キャッシュレス決済は決して若者だけのものではなく、選び方と使い方さえ工夫すれば、シニア世代の方の暮らしをより安全で快適にしてくれる頼もしい道具となります。
キャッシュレス決済がもたらす、シニア世代へのメリット
「現金が一番安心」というお気持ちもよく分かりますが、キャッシュレス決済を取り入れることで、実は防犯面や健康面で多くのメリットを得ることができます。
- お財布を持ち歩くリスクの軽減:多額の現金を持ち歩く必要がなくなるため、万が一お財布を落としたり、スリに遭ったりしたときの被害を最小限に抑えやすくなります。カードやスマートフォンであれば、利用停止の手続きを行うことで不正利用を防ぐことが可能です。
- レジでのやり取りがスムーズに:小銭を数えて出す手間や、お釣りを受け取ってお財布にしまう手間が省けます。後ろに並んでいる人を気にして焦ってしまう、という心理的な負担も大きく軽減されることでしょう。
- 衛生的なお買い物:多くの人が触れる硬貨や紙幣に直接触れる機会が減るため、感染症対策の観点からも衛生的で安心感があります。
無理なく始めるための「最初のステップ」
いきなりすべての買い物をスマートフォンで済ませようとする必要はありません。まずはご自身のペースで、一番使いやすい方法から試してみるのがおすすめです。
交通系ICカードから始めてみる
最も導入のハードルが低く、直感的に使いやすいのが「交通系ICカード(SuicaやPASMOなど)」です。
電車やバスに乗るためにすでに持っている方も多いのではないでしょうか。実はこれらのカードは、駅の改札だけでなく、コンビニエンスストアやスーパー、ドラッグストアなど、多くのお店での支払いにそのまま使うことができます。レジの端末に「ピッ」とタッチするだけで支払いが完了するシンプルさは、初めてのキャッシュレス体験として最適といえます。
よく行くスーパーの専用カードを作る
いつも買い物に行くスーパーが決まっている場合は、そのお店が発行している独自の電子マネーカード(プリペイドカード)を作ってみるのも良い方法です。
- お店のサービスカウンターでカードを発行してもらう
- 店内のチャージ機で、使う分だけあらかじめ現金をチャージ(入金)しておく
- レジでの支払時にカードを提示する
使う金額を自分でコントロールできるため、「使いすぎてしまうかもしれない」という不安を感じずに済みます。また、お店独自のポイントが貯まりやすくなるという嬉しいおまけがついてくることも多くあります。
スマートフォン決済に挑戦する際の安心ルール
もし、ご家族のサポートなどを得てスマートフォンを使った決済(QRコード決済など)に挑戦してみようと思われた場合は、安全に使うためのいくつかのルールを決めておくと安心です。
チャージは「現金」か「銀行口座」から
スマートフォン決済には様々な入金方法がありますが、クレジットカードと紐付けると、使った金額が分かりにくくなってしまうことがあります。最初は、コンビニエンスストアのATMから「現金でチャージする」か、必要な分だけ「銀行口座からチャージする」設定にしておくことをおすすめします。これなら、お財布に現金を入れるのと同じ感覚で管理することができます。
スマートフォンの画面ロックを設定する
万が一スマートフォンを置き忘れてしまったときに備えて、画面を開くためのパスワードや顔認証、指紋認証などの「画面ロック」を必ず設定しておきましょう。これだけで、他人に勝手にお金を使われてしまうリスクを劇的に減らすことができます。
まとめ:ご家族とのコミュニケーションのきっかけに
新しい技術を取り入れるときは、誰でも少しの勇気が必要なものです。「使い方が分からない」「設定が不安」というときは、ぜひお子様やお孫さんに相談してみてはいかがでしょうか。
「このお店でキャッシュレスを使ってみたいのだけれど、教えてもらえる?」という相談は、ご家族にとっても頼りにされていると感じる嬉しいコミュニケーションのきっかけになるかもしれません。現金とキャッシュレス、それぞれの良さを上手に使い分けながら、身軽で安心な毎日のお買い物を楽しんでいただければと思います。